1.メタノール走化性に関わるタンパク質群の同定と機能解析 大腸菌などで明らかにされている走化性に関わるタンパク質群には、誘因物質の認識に関わるMCPタンパク質群と鞭毛タンパク質へのシグナル伝達を担うCheタンパク質群が知られている。前年度に引き続き、Methylobacterium sp. OR01株のドラフトゲノム解析で見出したCheタンパク質群の遺伝子クラスターに存在する遺伝子の破壊株を構築し、メタノール走化性を評価した。メタノール走化性に必要なCheWを同定し、前年度に解析したMCPやCheAと同様に細胞極近傍に局在することを明らかにした。また、OR01株に存在する3つのChe遺伝子クラスターのうちの一つが走化性に関与することを明らかにした。 2.C1細菌のメタノール走化性評価と葉面分布動態解析 前年度に引き続き、OR01株の野生株とメタノール走化性に関わる遺伝子の破壊株について、アカシソへの定着能を解析した。異なる蛍光タンパク質で標識した2株を、アカシソ種子に単独および混合接種し、栽培後の葉の表層微生物細胞数をフローサイトメトリーにより定量した。その結果、CheW遺伝子破壊株では、単独接種と混合接種のどちらにおいても野生株と比較して細胞数が有意に減少していたことから、OR01株のアカシソ葉面への定着には、CheWタンパク質が重要な役割を果たすことがわかった。また、平板培地へのスタンプ法や蛍光顕微鏡観察により、野生株とメタノール走化性に関わる遺伝子の破壊株で葉面分布の違いが認められたことから、メタノール走化性がC1細菌の葉面への分布動態にも寄与することがわかった。
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