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2022 年度 実施状況報告書

Pseudomonas属細菌における最重要シグナル分子GacSリガンドの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K19139
研究機関大阪公立大学

研究代表者

甲斐 建次  大阪公立大学, 大学院農学研究科, 准教授 (40508404)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワードクオラムセンシング / Pseudomonas protegens / GacSリガンド
研究実績の概要

グラム陰性細菌の大きな1群であるPseudomonas属細菌は、Gac/Rsm系と呼ばれる独自の細胞間コミュニケーション機構を持ち、いわゆるクオラムセンシング(QS)様の挙動を示す。2001年に本機構で機能する二成分情報伝達系GacS/GacAが発見されて以来、世界中の研究者がGacSリガンド同定に取り組んできた。しかし、本機構の天然リガンドは未だ謎のままである。Gac/Rsm系は、土壌に生息するPseudomonas属細菌からヒトに日和見感染症を引き起こすP. aeruginosaまで保存されており、Pseudomonas属細菌の特性を最上位で制御している。応募者はこれまでに、同種・異種微生物間で機能する多くの化学コミュニケーション分子を解明してきた。同種微生物間コミュニケーションのenigmaとも呼ばれる、Pseudomonas属細菌のQSシグナル分子を解明し、微生物学・天然物化学分野におけるブレークスルーを達成する。
P. protegensのトランスポゾンTn5を用いたランダム変異を導入し、その中からGacSリガンド合成酵素変異株を選抜した。複数回の実験実施の結果、ある遺伝子のTn変異株でQSに関係する表現型が大きく変化することが分かった。その遺伝子を同定した(遺伝子名は伏せる)。該当遺伝子については、相補実験、過剰発現実験、異種発現実験も達成済みである。GacSリガンドの精製については、ある程度の条件絞り込みまで達成することができた。さらに、レポーターアッセイ系構築にもすでに取り組み始めることができた点は大きい。1年目の研究計画の多くは達成し、一部は2年目の計画を進めることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

1年目の達成目標であったGacSリガンド合成酵素遺伝子を同定した(遺伝子名は伏せる)。GacSリガンドの精製については、ある程度の条件絞り込みまで達成することができた。構造決定までの道筋はついた。さらに2年目の目標であったレポーターアッセイ系構築にもすでに取り組み始めた。以上のような理由から、当初の計画以上に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

GacSリガンドの構造解明を達成することを第一目標とする。その後、Gac/Rsm系活性化を容易に定量評価できるようにするため、レポータージーンアッセイ系を構築する。並行して、GacSリガンドの類縁化合物を市販品と自前合成品から準備し、構造活性相関研究を実施して、GacSリガンドの構造特異性を明らかにしておく。そして、GacSタンパク質をpET発現システムを用いて大腸菌で大量発現する。

次年度使用額が生じた理由

コロナの影響で旅費の執行がなかった点が大きい。あと、当初の計画よりもスムーズに進行したため、予算に余裕が生じた。だたし、未執行額は大きくないことから、当初の計画に問題があったとも判断していない。社会情勢が影響して、2年目は種々の備品費が増加することが予想されているため、研究計画を執行する上ではむしろ良いのではないかと考えている。

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公開日: 2023-12-25  

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