認知症克服は世界的課題である。認知症の主症状の一つが、夕方に会話困難、妄想的言動などの症状が増悪する「夕暮れ症候群」であるが、この機構は不明であった。本研究では、「夕暮れ症候群は生物時計の異常による時間帯依存的な想起障害と関連する」との仮説を立てて、この仮説を検討した。Aβ42を海馬に注入したアルツハイマー型モデルマウスでは、明期開始後10時間付近において記憶想起の障害が認められ、仮説が正しいことが示唆された。さらに、必須アミノ酸であるヒスチジン投与が記憶想起を向上させることも示され、記憶想起障害の改善にヒスチジンが有効である可能性が示された。
|