研究課題/領域番号 |
22K19150
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡島 俊英 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (10247968)
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研究分担者 |
中井 忠志 広島工業大学, 生命学部, 教授 (00333344)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 環状ペプチド / ラジカル酵素 |
研究実績の概要 |
酵素の翻訳後修飾に関わるラジカル架橋酵素QhpDは、タンパク質に分子内チオエーテル架橋を形成し、ループ型環状構造を多重に作り出すことができる。本研究は、このQhpDを利用することによって、酵素的なペプチド環状化手法を開発し、新規な機能性を持つ環状ペプチドを作り出すことを目的とする。すなわち、新しい中分子創薬のフレームワークとして重要な意義がある。まず、アラニン残基を連続したAla環状化ペプチドの動物細胞に対する作用の解析、あるいは物理化学的な解析を行うために、(Ala)4, (Ala)5, (Ala)6ペプチドの調製を行なった。特にNMRによる2価金属イオンとの相互作用解析に多量の試料が必要とされることが判明しており、本年度においてその調製に注力した。概ね次年度より本格的な解析を開始できるものと考えている。 さらに、架橋酵素QhpDの発現を制御し、架橋ペプチドの環状化をon/offできる共発現系の構築を試みた。当初計画では、QhpDの発現制御を、大腸菌コールドショック遺伝子cspAのプロモーター配列(pColdベクター使用)で行うことを計画していたが、pColdベクターの誘導条件である15 ℃では、T7プロモーター支配下の架橋ペプチドの発現が停止し、共発現系が想定通りに機能しなかった。そこで、QhpDの発現制御を、pBADプラスミド上でアラビノースプロモーター支配下で行うようにした。その結果、IPTG誘導下架橋ペプチドを発現下させているところに、アラビノースの有無によって、架橋酵素の発現をon/offできることがわかった。本系を用いることで、新規抗菌性ペプチドの探索に向けた基盤を確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初期に計画していた発現制御が想定通りに機能しなかったため、他の手法を用いて、目的を達成したため。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進行はやや遅れてはいるが、想定範囲内であり、大きな問題はない。必要なペプチドの調製やシステム構築を迅速に進め、各種の解析に注力する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞レベルの実験の開始と論文投稿がやや遅れているため、次年度への持ち越しが生じた。研究計画の推進によって、概ね解消される予定である。
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