研究課題/領域番号 |
22K19164
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
成澤 才彦 茨城大学, 農学部, 教授 (90431650)
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研究分担者 |
黒倉 健 宇都宮大学, 農学部, 講師 (10650898)
西澤 智康 茨城大学, 農学部, 准教授 (40722111)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | エンドファイト / 花芽形成誘導 / 共生 / 親和性バクテリア / 土着微生物 |
研究実績の概要 |
1. DSEによるイチゴ花芽形成促進機構の解析:イチゴモデル植物である2倍体野生種イチゴのランナー苗に対し,育苗段階でDSE(Cladophialophora chaetospira SK51)を施用し,22℃,16時間日長の花芽非誘導条件下で栽培を行った.対照としてDSE無施用のランナー苗を同様の条件および花芽誘導条件である15℃,8時間日長で栽培を行い,花芽分化程度の観察を行った。その結果、長日条件下におかれたDSE無施用の個体は花制が見られなかったのに対し,DSEを施用した個体では試験開始後約19週間で開花が認められた。DSEによる花芽非誘導条件下における花成促進効果を確認した。根の時系列トランスクリプトーム解析によりDSEの施用特異的に発現が変動する遺伝子群(および変動が見られない遺伝子群)の配列が明らかとなった。花成を直接的に制御していることが知られている遺伝子群(FvTFL1, FvSOC1, FvAGL14)の発現変動は認められなかった。発現変動が認められた遺伝子はほぼ機能未知の遺伝子であったため,未知のメカニズムにより花成が誘導されていることが示唆された. 2. DSE-バクテリア間相互作用の解明と育苗への利用:4処理区(DSE単独、バクテリア単独、DSE+バクテリア、対照区)での試験を行い、バクテリアとDSEの組み合わせの中で、DSEの有効性を強化するDSE-バクテリア共生系を選抜した。本年度は、供試植物としてダイズ、DSEはC. chaetospira SK51を供試した。また、供試バクテリアは、ダイズ根粒菌であるBradyrhizobium japonicum を供試した。その結果、DSEおよびその親和性バクテリアを供接種することで、対照区に比較して根粒の形成数およびダイズ苗の生育が有意に促進された。根粒は、数ばかりで無く大きさにも違いが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の1および2は、上述のように順調な成果を得ている。一方、3「DSEを利用した環境微生物叢の制御と花芽誘導の有効性の検討」に関する成果は得られていないが、現在、圃場試験を継続中であり、当初予定通りでもあるため問題ない。
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今後の研究の推進方策 |
1.根における経時的トランスクリプトーム解析のデータ取得そのものは現時点で終了している。次年度は、茎頂において直接的に花成を制御している遺伝子との共発現プロファイリングを行う。 2.本年度は、育苗時の生物検定の有効性を考慮して、供試植物としてダイズを選定し、DSE-バクテリア共生系の有効性を検討した。次年度は、対象作物であるイチゴを供試して、その有効性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画3に関しては、現在進行中であり、主な内容である微生物叢の解析に関する予算執行が今年度となった。そのため次年度使用額が生じた。
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