研究課題/領域番号 |
22K19181
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中屋敷 均 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50252804)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | いもち病菌 / RNA / RNAi / マイコウイルス |
研究実績の概要 |
本年度は、本実験計画にある「RNA農薬」の実現に必須であるマイコウイルスのクローニングおよびin vitro転写系の構築を行った。RNA農薬の土台となる因子の候補は、これまでにRNAのみで感染が起こると報告されているDiaporthe ambigua RNA virus1(DaRV1)と類縁のPyricularia oryzae umbra-like virus 1(PoUV1)と命名したウイルスである。PoUV1の5'RACEおよび3'RACEを行い末端配列を決定した後に全長cDNAをクローニングした。またこのcDNAにPCRを用いてT3およびT7プロモーター配列を付加してin vitroで二本鎖のウイルスRNAを合成できることを確認した。現在、このdsRNAをリポソーム、PEG等を用いて、菌糸や胞子に導入することを試みている。 また、より簡易な方法としてPoOLV1のサテライトRNAを用いた「RNA農薬」の開発も試みており、二種のサテライトRNA(ARNA1およびARNA3)の全長cDNAのクローニングを試みている。ARNA1については、クローニングが済んでおり、PoUV1と同様にT7やT3プロモーターを付加してRNAの合成に成功した。ARNA3は過去にRNA-seqからインシリコで構築した配列に間違いがあることが判明し、現在これを再構築してクローニングを試みている。ARNA1に関しては配列内にモデル遺伝子であるGFPなどを組込み、実際に遺伝子サイレンシングを誘導できるか、そのためのコンストラクトを現在作成しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で提唱している「RNA農薬」の開発に必須なウイルスの全長cDNAに成功しており、1年目の成果としては順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題としては、RNAによりどれくらいの効率で感染が起こるのか、マイコウイルスを用いたVirus-Induced Gene Silencing(VIGS)が本当に可能なのか、またウイルス保有株と非保有株の間の菌糸融合による伝播はどれくらいの効率で起こるのかといった点が残っている。本研究のアイディアの実現のためにこれらの問題点に一つ一つ取り組む予定である。
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