研究課題/領域番号 |
22K19230
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 専任教授 (60311544)
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研究分担者 |
村上 周一郎 明治大学, 農学部, 専任教授 (00243329)
矢野 健太郎 明治大学, 農学部, 専任教授 (00446543) [辞退]
甲斐 貴光 明治大学, 農場, 特任准教授 (00806226)
塩津 文隆 明治大学, 農学部, 専任准教授 (60543907)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | RNA-seq / Sintanur / IR64 / アキタコマチ |
研究実績の概要 |
間断灌漑を取り入れたSRI(system of rice intensification)農法を用い、神奈川県の明治大学生田キャンパスのライシメーターで栽培されたジャポニカ種のアキタコマチとインディカ種のIR64の根と葉からRNAを抽出し、ライブラリ調整後に次世代シーケンサーによるシーケンスを行った。同様に、インドネシアの水田で栽培されたSRI農法と常時湛水で栽培されたインディカ種Sintanurの根と葉からもRNAを抽出し、シーケンスを実施した。これらのデータから、これらの品種の遺伝子発現情報を比較し、特にSRI農法での遺伝子発現の差異を明らかにすることを目的とした。 予備的な主成分分析によると、Sintanurの遺伝子発現パターンはIR64やアキタコマチとは大きく異なっており、Sintanurは他の二品種とは明確に区別される位置に位置した。Sintanurは左側中央に、IR64は右側下方に、そしてアキタコマチは右側上方に位置していた。これにより、Sintanurが持つ独特の遺伝子発現が、他の品種には見られない特徴であることが示唆された。 さらに、各品種間での遺伝子発現の違いをヒートマップで視覚的に比較すると、Sintanurに含まれる多くの発現遺伝子がIR64やアキタコマチにはほとんど含まれていないことが明らかになった。この結果は、Sintanurが持つ特定の遺伝子が間断灌漑下での栽培においても増収に寄与している可能性があることを示唆している。 現在、これら3品種の遺伝子発現データをさらに詳細に比較し、遺伝子発現プロファイリングを通じて、SRI農法下での栽培がこれらの品種にどのような影響を与えるのかを解析中である。この研究は、稲の栽培方法に関する新たな知見を提供し、将来的には作物の収量増加に貢献する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的であったチャンピョン品種のSintanurのRNAデータを獲得できたので、今後は同じインディカ種のIR64とジャポニカ種のアキタコマチのRNAデータと比較することで、どの遺伝子がSintanureをチャンピョン品種にしているかを明らかにすることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
インディカ種とジャポニカ種の常時湛水と間断灌漑で栽培された3品種イネ(IR64, SIntanur,アキタコマチ)のRNAデータ解析をし、Sintanurが間断灌漑下で卓越した増収量性能を有するための遺伝子特定を実施する。また、メタン生成に関与する微生物群集がどのような土壌管理下で変化するかを実験的に調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため海外渡航に制限があり、当初予定通りにイネ試料の採取が実施できなかったため。
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