研究課題/領域番号 |
22K19234
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
五十嵐 学 北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 准教授 (10374240)
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研究分担者 |
堀江 真行 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (20725981)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 新規ウイルス / タンパク質 / 立体構造 / ウイルス様配列 / 構造類似性 |
研究実績の概要 |
近年、メタゲノム解析手法の発展により、新規ウイルスが次々と見つかっている。しかし、配列類似性検索を用いたこれまでの手法には、既知のウイルスと遠縁のウイルスは検出できないという欠点がある。一方、タンパク質の立体構造はアミノ酸配列と比べて進化的保存性が高いことが知られている。本研究では、タンパク質の立体構造予測および構造類似性検索を用いた新たな解析手法を開発し、これまでの手法では検出できなかった新規ウイルス配列の同定を試みる。 本年度は、ColabFoldおよび京大化研のスーパーコンピュータシステムに実装されたAlphaFold2を用いて、タンパク質の立体構造予測を大規模に行う検証実験を行った。また、タンパク質構造データバンク(PDB)に登録されているウイルスタンパク質の立体構造情報13,685件を用いて、構造類似性とGene Ontrogy(GO)による機能アノテーション情報の関連性を解析した。その結果、異なるウイルス属に属し、配列レベルでは類似性が見られないタンパク質でも、構造類似性情報を活用することで、機能的に類似したウイルスタンパク質候補を検出できる可能性が示唆された。 さらに既知の類似性を持つ配列を除外する手法の検討も行った。De novoアセンブリと既存の配列データベースを用いた配列類似性検索により既知の配列の除外を試みたところ、ボルナウイルスなど、次々と新規(少なくとも新種レベル)のウイルスが検出された。既知の配列と類似性を持つ配列を完全に除外するためには、これらの新規ウイルスの配列についても配列解析を行い、新規ウイルスの配列も既存の配列データベースへと取り込む必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
立体構造の大規模予測手順やダークマター配列の検出に時間を要してしまい、状況としてはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)構造予測から構造類似性検索を一括で行うシステムの構築を検討する。 (2)公共のRNA-seqデータベースから、既知のどの配列とも類似性を示さないダークマター配列を抽出する。 (3)抽出されたダークマター配列の構造予測および構造類似性検索を行い、配列類似性検索では検出できない新規ウイルス配列の検出を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
立体構造の大規模予測手順やダークマター配列の検出に時間を要してしまい、状況としてはやや遅れている。。そのため成果報告や解析パイプラインの構築に使う費用を、次年度に持ち越して使用する予定である。
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