研究実績の概要 |
・産卵期のニワトリの卵母細胞膜で「低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質2ライク(LRP2L)」と仮称される機能未知の遺伝子が発現することを見つけ出した。本研究では、この受容体の生体内リガンドを同定することを目的とした。 ・ニワトリの卵母細胞に由来するcDNAを鋳型として、リガンド結合部位のみを保有する組換えLRP2Lのタンパク質の作出に成功した。作出したLRP2Lをウサギに免疫し、特異抗体を作出した。この抗体を用いて、ニワトリ卵母細胞膜での発現解析を行ったところ、LRP2Lの発現量は発育段階初期の卵母細胞で高く、発育段階の進行に伴って微減することが判明した。 ・LRP2Lと結合する血液中のリガンドを探索するために、LRP2Lと血液中のタンパク質を混合し、結合するタンパク質を同定しようとした。組み換えタンパク質の生産効率が高い1628 アミノ酸残基のLRP2Lとニワトリ血液に含まれる4つのリポタンパク質画分(VLDL, LDL, HDL, ビテロゲニンなど)を用いて結合試験を行った。しかしながら、LRP2Lに特異的に結合する有力なリガンドは見つけられなかった。 ・マウスの精巣・卵巣・大脳皮質・前頭葉にLRP2Lの遺伝子が発現することが判明した。マウスのLRP2Lは、鳥類と同様に生殖器官に発現すること、さらには一部の中枢神経系で発現することが判明した。 ・LRP2Lの血中内因性リガンドは依然として明らかではないが、LRP2Lの卵母細胞膜での発現の特徴、哺乳類におけるオルソログの発現についての知見を得ることができた。
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