研究課題/領域番号 |
22K19269
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
増田 章男 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10343203)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | RNA-タンパク相互作用 / CLIP / tRIP / RNA結合タンパク |
研究実績の概要 |
研究代表者が開発した効率的RNA-タンパク相互作用検出法 (tRIP法) をベースに、各実験ステップの改変を行うことで、さらなる効率化法を探索した。 i) マルチプレックス化への検討。random primer部位とindex部位を持つoligo DNAをconjugationしたRBP特異抗体を使用したマルチプレックス化の適正条件について検討した。Conjugation時の至適抗体/DNA量や結合反応条件の検討を行い、効率的なconjugationに成功した。さらに、得られた抗体を用いてRNA結合タンパクFUSに対するFUS-tRIP libraryの作製ができることを確認した。 ii)固定法の改善: 細胞内RNA-タンパク相互作用の固定に、tRIP法ではUVクロスリンクを利用していたが、ホルムアルデヒドへの代替可能性を探索した。DNA-タンパク相互作用解析法であるChIP法では、生細胞に対し1%ホルムアルデヒドを用いて10分常温での固定が一般的である。我々は、ホルムアルデヒド濃度・反応温度・反応時間の検討を行い、RNA-タンパク相互作用の固定には、同様のバッファーで室温2分で十分なことを見出した。 iii)細胞内クロマチン分画回収法の構築。スプライシングや3' end proceccing factor制御をはじめとするRNA代謝制御RNA結合タンパクのほとんどが細胞内クロマチン分画に分布している。しかし、クロマチン分画にはDNAおよび様々な核内タンパクが高密度に集積しており、そこから効率的に目的タンパクを回収することは、困難であった。我々は、今回、その改良に取り組み、抽出液の塩濃度を急激に変化させることでクロマチン分画が沈殿可能であり、その沈殿から効率的にRNAを回収する方法の確立に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、UVクロスリンク法に変えて、ChIPで汎用されているホルムアルデヒドを用いたRNA-タンパク複合体のクロスリンクを行うことで、大幅な感度向上を目指していた。しかし、ホルムアルデヒドによるクロスリンク効率は、UVクロスリンクより圧倒的に高いものの、その後のRT-PCR反応を阻害してしまうことが判明した。このRT-PCR阻害を最小限に抑えるべく、時間や温度、バッファー条件など、様々な検討を行ったため、進捗状況に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に達成した、i)oligo結合抗体によるtRIP解析、ii)RNA-タンパククロスリンク法の改善、iii)新規クロマチン分画回収法をもとに、これらの使用条件調節を行うことでRNA-タンパク解析法の高感度化を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、我々が確立した効率的RNA-タンパク相互作用検出法 (tRIP法) をベースに超高感度解析法の開発を目的としている。tRIP法で用いられているUVクロスリンク法を、ホルムアルデヒドを用いたRNA-タンパク複合体のクロスリンクに置き換えることで、大幅な感度向上を目指している。従来からDNAに対するChIP法で汎用されている方法であるので、この置き換えは、簡単に行える見込みであった。しかし、実際に行ってみたところ、ホルムアルデヒドによるクロスリンク効率は、期待通りにUVクロスリンクより圧倒的に高いものの、その後のRNAをcDNARTに逆転写するRT反応を強く阻害してしまうことが判明した。この逆転写反応阻害を最小限に抑えるべく、時間や温度、バッファー条件など、様々な検討を行ったため、進捗状況に遅れが生じ、細胞生化学実験および次世代シークエンサー解析に予定していた分に、次年度使用額が生じた。未使用額は、今後の細胞生化学実験及び次世代シークエンサー解析に使用予定である。
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