研究課題
挑戦的研究(萌芽)
枯草菌べん毛モーターのナトリウムイオン駆動型固定子として働くMotPS複合体のペプチドグリカン結合ドメインはナトリウムイオン濃度に依存して可逆的に構造変化する。この可逆的な構造変化により、べん毛モーターの周りに配置される固定子の数が自発的に制御される。本研究では、MotSのAsp-70残基とGlu-76残基がナトリウムイオン結合部位であること、MotSの68番目のグルタミン残基から117番目のグルタミン酸残基の領域がナトリウムイオンの有無によりその構造が可逆的に変化することを突き止めた。
分子微生物学、生物物理学、生化学
従来の蛍光色素を用いた細胞内ナトリウムイオン濃度の動的時間変化の測定は、定量的な解析が困難であるとともに、蛍光色素による細胞毒性が大きな問題となっている。本研究で同定したナトリウムセンサーはナトリウムイオンの濃度変化に迅速に応答できる非侵襲性バイオセンサープローブの開発に利用できる。このようなバイオセンサープローブは様々な生物種の細胞に発現させることができるため、ナトリウムイオンが関与する様々な生命現象の解明に貢献することが期待される。