研究課題/領域番号 |
22K19276
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊藤 隆司 九州大学, 医学研究院, 教授 (90201326)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / DNAメチル化 |
研究実績の概要 |
出芽酵母ゲノム中にメチル化を導入(開始)し、拡張・制限・維持を行うのが本研究の挑戦である。 これらを行うためのゲノム領域を出芽酵母ゲノム中に創出するために、λファージゲノム48.5 kbをそっくりそのままho遺伝子座位に挿入することを試みた。具体的には、Cas9によるゲノム編集によって、48.5 kbのλDNAを挿入しようとしたが、所期の成果を得られなかった。そこで48.5 kbを相互にオーバーラップした6つの断片に分けてPCRによって調製し、それらを同時にゲノム編集に用いることを試みた。当初、選択を容易にするべく栄養選択マーカーを持たせた形で実施して、6断片が想定された順番通りに挿入されたことを示す結果が得られた。更に、条件を最適化したところ、選択マーカーなしでのλDNAの挿入にも成功したことが示唆された。最終的には、ナノポアシーケンシングを行って、所期の通りにλDNAをゲノム中に挿入できたことを確認した。 更に、導入したDNAメチル化の維持を行うために、維持メチル化酵素DNMT5の人工遺伝子の合成を行い、それらを発現する株の作成を進行中である。 これらのゲノム改変を効率的に進めるために、以前に開発した遺伝子編集プラスミドシリーズを拡張し、3遺伝子座の同時編集も高い効率で進める系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の基盤となるゲノム編集技術の整備を行なうとともに、領域としてのメチル化導入を評価するに相応しい人工ゲノム領域の創出に時間を要してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
研究の基盤となるゲノム編集技術の整備や汎用性の確認に時間を要してしまったが、メチル化の導入・拡張・制限・維持を行うに相応しい人工ゲノム領域の創出ができた。今後は、それぞれのステップに必要な素子の設計・実装を加速して、本研究における挑戦に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
標的ゲノム領域の創出およびその基盤技術の整備に時間を要したため、各機能素子の設計実装が遅れ、その分の次年度使用額が生じた。これらは次年度に当該の目的に使用する予定である。
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