酸化ストレスと老化の関連はフリーラジカル説として提唱されていたが、本研究はこの古くからある仮説を、老化にともなう染色体不安定性と結びつけた点に意義がある。また老齢マウスから線維芽細胞を単離し、低酸素条件下のライブセルイメージングにより染色体分配を観察する手法も独自性が高い。本研究は、染色体不安定性を老化の指標の1つとして確立し、抗酸化力を高めることによりこれを改善する方策の開発につながる可能性がある。染色体不安定性から生じる染色体異数性や微小核は、遺伝子発現の異常や炎症性サイトカインの分泌などを通じてがんなど様々な病態につながる可能性があり、本研究がそれらの理解や制御に資することが期待される。
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