研究課題
電位依存性ナトリウムチャネルについて、電位依存性の異なる三種類の変異体を脂質膜中に再構成して高速原子間力顕微鏡で構造動態を観察した。その結果、0 mVにおいて活性化ゲートが開いた変異体では、イオン透過路を形成するポアドメインに、電位センサードメインが密着し、連動して運動していることが分かった。一方で、0 mVにおいて活性化ゲートが閉じる変異体では、電位センサーがポアドメインから大きく解離し、ポアドメインとの運動の連動性は消失していた。両者の中間の電位依存性を示す変異体では、電位センサーは多くの時間でポアドメインに結合していたが、運動の連動性は失われていた。興味深いことに、静止状態のチャネルにおいて解離した電位センサードメインは、異なるチャネルに由来する電位センサードメインと会合して二量体を形成していることを発見した。チャネルの開閉に伴うチャネル間架橋の形成・解離はこれまで提唱されていなかった構造変化であり、チャネルの協同的機能の理解に大きく貢献すると期待する。
2: おおむね順調に進展している
チャネルの活性化ゲートの開閉状態に関連した未知の構造変化を明らかにし、またチャネル間相互作用に関する新たな情報を得たため。
AFM基板に金蒸着マイカ基板を用い、電位依存的な構造変化を観測する。
翌年度に論文掲載費等での支出が見込まれたため。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
ACS Nano
巻: 17 ページ: 4629-4641
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