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2022 年度 実施状況報告書

細胞内局所光イメージング計測から迫る概日カルシウムリズムの源流の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K19319
研究機関大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究

研究代表者

榎木 亮介  大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 准教授 (00528341)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2024-03-31
キーワード概日時計 / カルシウム / オルガネラ / 光イメージング / 細胞核 / ミトコンドリア
研究実績の概要

哺乳類には約24時間のリズムを刻む概日時計が備わっており、その中枢は脳深部の視床下部にある視交叉上核に局在する。これまでに私は、視交叉上核の神経回路における時空間的に協調した概日Ca2+リズムを発見し、その作動機序を探究してきた。予期しなかったことに、視交叉上核の細胞質で見られる概日Ca2+リズムは、大脳皮質や海馬など教科書的に示されている神経細胞とは異なるCa2+動態を示すことが分かってきた。さらには時計遺伝子の欠損細胞においても概日Ca2+リズムが観察されたことから、概日Ca2+リズムは中心的な概日振動体である可能性もある。本研究では光計測技術を駆使して細胞局所Ca2+を行うことで、概日Ca2+リズムの源流を突き止める。本実験では、マウス視交叉上核の培養スライスを作成し、アデノ随伴ウイルスを用いて種々の遺伝子コード型Ca2+センサーを神経細胞特異的に発現させ、長期タイムラプスシステムを用いて数日~週の長期間の光イメージング計測を行う。特に本研究では、蛍光Ca2+センサーに特異的輸送シグナルを付与して細胞内オルガネラに局所発現させ、細胞質Caリズムとの同時多色イメージング計測を行う。これまでの実験により細胞内の幾つかのオルガネラにおいても概日リズムが存在することを見いだしており、本研究では多色光イメージング計測を基軸に、各種チャネル阻害薬の薬理実験などを用いてその作動原理に迫る。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの先行実験により、細胞内の微小構造体内(核/小胞体/ミトコンドリア)でも概日Ca2+リズムが存在することを見いだし、特にミトコンドリアの概日リズムは、これまで細胞質で見られていた概日Ca2+リズムとは約12時間の逆位相パターンを示した。近年、ミトコンドリアは小胞体と接触領域を介してCa2+が行き来することが報告されており、視交叉上核においても細胞内小器官ネットワークを形成して概日Ca2+リズムを制御する可能性がある。特に最近、ミトコンドリア内膜のCa2+/H+ 交換輸送体(LETM1)が概日Ca2+リズム発振に寄与することが報告されたことも勘案するに、ミトコンドリアが概日Ca2+リズムの発振源である可能性がある。

今後の研究の推進方策

核内で観察される概日Ca2+リズムが、細胞質から核膜孔を介した受動的な流入によるものか、核内に独立に制御される機構があるかを、核-細胞質の同時イメージング計測および薬理実験により検証する。またミトコンドリア内で見られる概日リズムがCa2+由来であることの確証を得るため、pH耐性の蛍光タンパク質やCa2+プローブを用いた計測を試みる。現在これらの蛍光タンパク質を発現させるためのアデノ随伴ウイルスを作成中である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cold-induced Suspension and Resetting of Ca2+ and Transcriptional Rhythms in the Suprachiasmatic Nucleus Neurons2022

    • 著者名/発表者名
      Enoki Ryosuke、Kon Naohiro、Shimizu Kimiko、Kobayashi Kenta、Yamaguchi Yoshifumi、Tomomi Nemoto
    • 雑誌名

      Biorxiv

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1101/2022.09.18.508357

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Calcium Rhythm in Mammalian Master Clock2022

    • 著者名/発表者名
      ENOKI Ryosuke
    • 雑誌名

      Seibutsu Butsuri

      巻: 62 ページ: 228~231

    • DOI

      10.2142/biophys.62.228

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Optical Imaging of Organelle Ca2+ Rhythms in the Central Circadian Clock Neurons2023

    • 著者名/発表者名
      Sota Hiro, Tomomi Nemoto, Ryosuke Enoki
    • 学会等名
      第12回 生理学研究所・新潟大学脳研究所・京都大学ヒト行動進化研究センター合同シンポジウム
  • [学会発表] Long-term organellar Ca2+ imaging of master circadian clock neurons2023

    • 著者名/発表者名
      Sota Hiro, Tomomi Nemoto, Ryosuke Enoki
    • 学会等名
      生理研・韓国Korea大Yonsei大合同シンポジウム
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 概日時計中枢におけるオルガネラCa2+リズムの長期イメージング解析2023

    • 著者名/発表者名
      廣蒼太, 根本知己, 榎木亮介
    • 学会等名
      日本生理学会 第100回記念大会
    • 国際学会
  • [学会発表] Circadian Rhythms under Cold Remperature in the Master Clock Neurons2023

    • 著者名/発表者名
      榎木亮介, 金尚宏, 山口良文, 根本知己
    • 学会等名
      日本生理学会 第100回記念大会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 概日時計中枢における核-ミトコンドリア-細胞質のCa2+リズムの光イメージング解析2022

    • 著者名/発表者名
      廣蒼太, 根本知己, 榎木亮介
    • 学会等名
      第29回 時間生物学会学術大会
  • [学会発表] 概日時計中枢における核-ミトコンドリア-細胞質のCa2+リズムの光イメージング解析2022

    • 著者名/発表者名
      廣蒼太, 根本知己, 榎木亮介
    • 学会等名
      2022年度日本分子生物学会
  • [備考] 個人研究紹介HP

    • URL

      https://ryosukeenoki.wixsite.com/enoki

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公開日: 2023-12-25  

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