現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生育過程で、萎れやすく、葉の形態が丸まった変異株群①については、植物の乾燥ストレス応答に必修の植物ホルモンのアブシシン酸(ABA)に関連した変異株である可能性が疑われたために、ABAの欠損変異株あるいはABA非感受性の変異株であるかをジベレリン生合成阻害剤のウニコナゾール上で発芽できる性質を指標に試験した。さらに、浸透圧ストレス後に誘導されるABA応答性遺伝子発現(AtRD29BやAtMAPKKK18)の遺伝子発現誘導の変化や内生ABA量の測定を通じて変異株の特性を明らかにした。その結果、単離された39の変異株のうち、実に25の変異株がABA欠損であることが明らかになった(前年度では、解析が不十分で19の変異株がABA欠損であると判定されていた)。AHXに対して低感受性の変異株のうち、ABA欠損変異株と疑われる25の変異株について、すべてのABA生合成酵素遺伝子(ABA1,ABA2,ABA3,ABA4,NCED3,AAO3)の遺伝子配列を解析した。まず、昨年度に6つ変異株がABA2遺伝子に変異を有していることが明らかになったが、そのうちの2つの変異は塩基レベルでの変異があったものの、アミノ酸配列は変化していなかったことが判明し、最終的に4種の変異株がABA2遺伝子に変異を有していた。残りの21の変異株についての内訳は、ABA1遺伝子に変異を持つ変異株が5つ、ABA4遺伝子に変異をもつ変異株が1つであり、興味深い事にABA3遺伝子に変異を持つ変異株は15つであった。一方、NCED3遺伝子やAAO3遺伝子に変異を持つ変異株は存在しなかった。
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