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2022 年度 実施状況報告書

CDRグラフトによる抗体様分子ライブラリーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K19376
研究機関京都大学

研究代表者

野中 元裕  京都大学, 医学研究科, 准教授 (70514173)

研究分担者 大石 真也  京都薬科大学, 薬学部, 教授 (80381739)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2024-03-31
キーワードNanobody / 抗体 / CDR
研究実績の概要

バイオ製剤の投与で体内にて抗薬物抗体が生成されることにより、薬効の低下や予期せぬ副作用などの二次無効化現象が生じることがある。これまで申請者らは、全ての配列がD-アミノ酸で作られた「鏡像低分子化抗体」がマウスモデルにおいてほとんど免疫原性を示さないことが明らかにしてきた。一方、これまで申請者らは、ファージディスプレイ法にて用いた人工ランダム配列ライブラリーでは、結合活性を持つ鏡像抗体のヒット配列を効率良く得ることが困難であった。そこで本研究では、マウスに標的D-タンパク質を免疫し、得られた抗体の超可変領域の配列をNanobody/Monobodyへ移植することを目的とした検討を実施した。ヒット配列を効率的に取得できるようになることで、免疫原性を示さないモダリティの実現に近づけることが期待される。
本年度では、ケモカインMCP-1をモデルとして、BALB/cマウスにおいて鏡像MCP-1のフラグメント5種類を用いた免疫を実施した。D-ペプチド単体では抗体価が上がらないことが予想されたため、KLHとのコンジュゲートを用いた。BALB/cマウスに単回腹腔内投与を行った14日後に、血漿を回収し、抗体価を測定した。その結果、C末端領域を含む3種類のD-ペプチドに対しては抗体価の上昇が認められたが、対応するL-ペプチドでは抗体価はほとんど認められなかった。以上の結果から、マウスにおいてD-ペプチドに対する抗体を誘導することが可能であることが明らかとなった。現在、マウスからB細胞を単離し、免疫ライブラリーを作製中であり、今後、マウスIgGのCDR3をNanoody超可変領域に組込んだファージライブラリーを作製する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの研究にて、申請者らは、D-アミノ酸で構成される鏡像タンパク質はほとんど免疫原性が無いことを示してきた。従って、本研究課題においても、標的分子の鏡像体も同様に免疫が惹起されないことが予想された。しかし、本年度において、適切なキャリア分子とのコンジュゲートを作製することにより、この問題を克服することができた。この成果より、今後のグラフティングのプロセスに円滑に移行することができると考えている。

今後の研究の推進方策

続いて、重鎖抗体遺伝子のCDR3をNanobody/Monobodyの超可変領域に組込んだT7ファージライブラリーを完成させる。一方、次世代シーケンサーを用いてマウスIgGのCDR3配列のレパトア解析を実施する。DNA配列をアミノ酸配列に置換後、出現頻度順の上位配列において相同配列の有無を確認する。得られたNanobodyおよびMonobodyの免疫ライブラリーを用いて、D-MCP-1を標的として鏡像スクリーニングを実施する。3ラウンド程度のバイオパニング操作で特異的な濃縮が確認されれば、次世代シーケンサーを用いた解析を行う。ヒット配列情報を元にD-NanobodyおよびD-Monobodyを化学合成し、MCP-1分子に対する結合活性を確認する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は概ね計画通りに使用した。次年度は免疫ライブラリー作製、スクリーニング、標的分子および抗体様分子の化学合成作製に使用する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (11件) (うち招待講演 3件)

  • [学会発表] 鏡像タンパク質を活用した創薬研究2023

    • 著者名/発表者名
      大石真也
    • 学会等名
      第12回有機「ものつくり」化学研究会
  • [学会発表] 鏡像タンパク質を活用した創薬研究2023

    • 著者名/発表者名
      大石真也
    • 学会等名
      大阪大学蛋白質研究所セミナー:タンパク質に挑戦する化学
    • 招待講演
  • [学会発表] 鏡の中の中分子化合物からの医薬シーズの探索技術2023

    • 著者名/発表者名
      大石真也
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
    • 招待講演
  • [学会発表] 創薬モダリティとしての応用を指向した鏡像モノボディの化学合成法の確立と応用2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤志乃, 岩本直也, 眞鍋麻彩子, 井貫晋輔, 大野浩章, 野中元裕, 大石真也
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
  • [学会発表] 免疫原性の低減を志向した鏡像VHH抗体 の開発2023

    • 著者名/発表者名
      青木啓輔, 野中元裕, 小田幸穂, 東克暁, 眞鍋麻彩子, 木村寛之, 井貫晋輔, 大野浩章, 大石真也
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
  • [学会発表] 鏡像VHH抗体の免疫原性評価と免疫ライブラリーを用いた配列取得2022

    • 著者名/発表者名
      眞鍋麻彩子、前田佳夕、青木啓輔、薄井友輔、髙橋里菜、 大野浩章、森瀬譲二、岡昌吾、大石真也、野中元裕
    • 学会等名
      第95回日本生化学会大会
  • [学会発表] メチル基にまつわる小さな話2022

    • 著者名/発表者名
      大石真也
    • 学会等名
      第54回若手ペプチド夏の勉強会
    • 招待講演
  • [学会発表] Investigation of the immunogenicity of mirror-image single-domain antibody binding to vascular endothelial growth factor2022

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Aoki, Motohiro Nonaka, Sakiho Oda, Katsuaki Higashi, Asako Manabe, Shinsuke Inuki, Hiroaki Ohno, Shinya Oishi
    • 学会等名
      第59回ペプチド討論会
  • [学会発表] Synthesis and functional analysis of mirror-image monobody2022

    • 著者名/発表者名
      Naoya Iwamoto, Yukino Sato, Asako Manabe, Shinsuke Inuki, Hiroaki Ohno, Motohiro Nonaka, Shinya Oishi
    • 学会等名
      第59回ペプチド討論会
  • [学会発表] VEGF 結合活性を示す鏡像VHH 抗体の探索研究2022

    • 著者名/発表者名
      青木啓輔, 野中元裕, 小田幸穂, 東克暁, 眞鍋麻彩子, 井貫晋輔, 大野浩章, 大石真也
    • 学会等名
      第39回メディシナルケミストリーシンポジウム
  • [学会発表] 鏡像モノボディの化学合成法の確立と機能評価2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤志乃, 岩本直也, 眞鍋麻彩子, 井貫晋輔, 大野浩章, 野中元裕, 大石真也
    • 学会等名
      第39回メディシナルケミストリーシンポジウム

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公開日: 2023-12-25  

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