研究課題/領域番号 |
22K19402
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
成宮 周 京都大学, 医学研究科, 寄附講座教員 (70144350)
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研究分担者 |
田中 信生 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80511089)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | AhR / NHEK細胞 / CYP1A1 / Filaggrin / トリプトファン代謝物 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、Aryl Hydrocarbon Receptor (AhR) の内因性リガンドを同定し、その作用メカニズムを解明することである。我々は、NHEK をCa2+イオン及びL-tryptophan 存在下でlysophosphatidic acid で刺激したときに培養上清にAhr依存性にバリアータンパク質フィラグリン (FLG)を誘導する物質が産生されることを見出した。本年度は、昨年度に引き続き、本物質の精製、同定を試みた。 1.上記NHEK培養上清をSepPakC18処理し、抽出物を酢酸酸性で水と酢酸エチルで分別抽出、水画分を逆相HPLCで分離、これを3回繰り返したあと、CYP1A1/FLG誘導活性画分をLC-mass spectrometryにかけ物質探索を行った。その結果、候補物質として5-hydroxy-indole acetic acidとserotoninが得られた。これらのauthentic化合物の活性をassayした結果、serotoninはCYP1A1を濃度依存性に誘導したがFLG誘導活性は微弱であった。一方、5-HIAAはCyP1A1, FLGとも誘導活性を認めなかった。以上から、これら物質は、目的とする物質ではないと判定した。 2. 上記を含むこれまでの精製での問題点は、精製を進めるにつれCYP1A1に比べFLG誘導活性が減少・消失することである。このことから、FLG誘導活性に焦点をあて精製を進めることとした。このため、最初の前処理をhexane, ethyl acetate, methanol, waterで段階的に分別抽出し、methanol画分でFLG誘導活性がenrichできることを見出し、これを出発材料として、順相カラム、逆相HPLCにかけ、各々でFLG誘導活性の溶出位置を同定した。現在、これを組み合わせ、精製を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、AhR活性化の主要なoutputであるCYP1A1を指標に活性を精製すれば、FLG誘導活性も精製できるとの戦略であったが、CYP1A1誘導活性も多数で、かつ、その殆んどが微弱なFLG誘導活性しか持っていなかった。このため、戦略の練り直しを迫られている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
とりあえず、上記した前処理の改良に沿って、精製をやりなおす。
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次年度使用額が生じた理由 |
目的物質の精製が遅延したため、それ以後の計画研究が進まなかったため。まずは、目的物質の精製と同定を進める。
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