研究課題
細胞は、アミノ酸量を感知して転写・翻訳を制御するため、アミノ酸自身がシグナル分子として機能しているが、これまでに細胞内アミノ酸濃度を感知してmTORC1へとシグナルを送る細胞内センサーであるロイシンセンサー等が同定されている。今回、細胞外のアミノ酸を感知する「細胞膜センサー」の存在を支持する事実として、ほとんどの細胞株ではロイシンによるmTORC1活性化が細胞へのロイシン取り込みを担うアミノ酸トランスポーターの阻害薬により抑制されるのに対して、特定の細胞ではロイシンによるmTORC1活性化がアミノ酸トランスポーター阻害薬により抑制されないことが明らかになった。これは、その細胞では、ロイシンによるmTORC1活性化は、細胞内センサーによるのではなく、細胞外のアミノ酸を感知する新たな細胞膜センサーが存在し、それがmTORC1への主要なシグナルを担っていることを示唆している。さらに、今回、細胞膜センサーを介してmTORC1を活性化するアミノ酸誘導体を見出した。このアミノ酸誘導体は、細胞内センサーには認識されず、細胞膜センサーの特異的アゴニストとなる。この特異的アゴニストの発見により、細胞膜センサーの存在にさらに確証が与えられた。さらに、網羅的プロテオーム解析により、アミノ酸トランスポーターLAT1を阻害することでGCN2-eIF2α経路の活性化とその下流で転写因子ATF4の発現上昇が起こることが明らかになった。ATF4の発現上昇は、LAT1の抑制効果を打ち消し、LAT1阻害に対する細胞の適応に寄与するものと想定された。また、LAT1阻害は、mTORC1抑制によるフィードバック経路を介して上流のAKTを活性化することが示され、アミノ酸トランスポーターと細胞膜センサーのクロストークが示唆された。
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