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2022 年度 実施状況報告書

免疫系は学習するか?:アレルゲン暴露に対する予知応答リズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K19427
研究機関山梨大学

研究代表者

中尾 篤人  山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80317445)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワード免疫系 / 学習 / 記憶 / 舌下免疫療法 / 制御性T細胞
研究実績の概要

マウスやラットに毎日一定時刻の給餌を行うと餌を得られる時刻に先立って2-3時間前より活動量が高くなる。この行動は毎日決まった時間に出現し予知行動リズムと呼ばれる。予知行動リズムは、脳の学習機構が働いて、餌を得ていた時間帯を記憶していることの証拠となる。このリズムにより食事獲得効率が上がるため生存に有利に働いたと考えられる。
免疫系は、食事同様、動物の生存に必須なシステムである。よって生存を有利にするため、免疫系が細菌やアレルゲン等の侵入に備え予知応答リズムを示しても不思議ではない。実際、マウスリンパ節のリンパ球数は、概日時計及び交感神経活動により、活動期に増加し休息期に減少する。この現象は、病原体に暴露されるリスクが活動期に増えることへの準備と考えられ一種の予知応答リズムである。一方で、給餌制限による予知行動リズムのように毎日一定の時刻に病原体やアレルゲンに暴露されたとき、免疫系が予知応答リズムを形成するかは不明である。
本年度は、免疫系が予知応答リズムを形成するか否かを明らかにするために、舌下免疫療法モデルを用いて、マウス頸部リンパ節の制御性T細胞の動態について予備的検討を行った。その結果、舌下免疫療法を午前10時に一週間行ったマウスの頸部リンパ節において、記憶制御性T細胞の集積が午後10時に比較して多く見られることが明らかになった。今後、舌下免疫療法を中止したときに、午前10時に同様の集積が認められるか否かについて検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

舌下免疫療法モデルを用いて、マウス頸部リンパ節の制御性T細胞の動態について予備的検討を行った結果、舌下免疫療法を午前10時に一週間行ったマウスの頸部リンパ節において、記憶制御性T細胞の集積が午後10時に比較して多く見られることが明らかになった。この知見が今後の研究を進めるカギとなるため、本計画は概ね順調に進んでいると評価する。

今後の研究の推進方策

今後、舌下免疫療法モデルマウスにおける顎下リンパ節のリンパ球サブセット(Th1,Th2,Th17等)の動態ならびにリンパ球動態を制御する分子(β2アドレナリン受容体,CCR7,S1PR1)の発現動態を解析し、それらが予知応答リズムを示すか否かについて検討する。

次年度使用額が生じた理由

研究が順調に進展したため、必要なマウス匹数、細胞培養に必要な試薬の量などを節約することができた。今年度に軽減できた経費は、次年度の重要な解析のために必要な経費(マウスや試薬等)として使用する計画である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Association of Circadian Clock Gene Expression with Pediatric/Adolescent Asthma and Its Comorbidities2023

    • 著者名/発表者名
      Tran Nguyen Quoc Vuong、Le Minh-Khang、Nguyen Thuy-An、Kondo Tetsuo、Nakao Atsuhito
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 24 ページ: 7477~7477

    • DOI

      10.3390/ijms24087477

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Time will tell about mast cells: Circadian control of mast cell activation2022

    • 著者名/発表者名
      Nakao Atsuhito、Nakamura Yuki
    • 雑誌名

      Allergology International

      巻: 71 ページ: 425~431

    • DOI

      10.1016/j.alit.2022.06.008

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Welcome to “Circadian Immunology & Allergology”: Why timing matters in diagnosing and treating allergies2022

    • 著者名/発表者名
      Atsuhito Nakao
    • 雑誌名

      Allergology International

      巻: 71 ページ: 423~424

    • DOI

      10.1016/j.alit.2022.08.007

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] MOD000001, a Novel Highly Selective and Orally Available KIT Inhibitor, Suppresses Passive Cutaneous Anaphylactic (PCA) Reaction and Food Allergy in Mice.2023

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Y, Nakao A
    • 学会等名
      2023 AAAAI Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] スギ・ヒノキ花粉症患者の主要アレルゲンに対する好塩基球活性化試験の解析2022

    • 著者名/発表者名
      小林義照,中尾篤人
    • 学会等名
      第8回 日本アレルギー学会関東地方会
  • [学会発表] マスト細胞サブセットにおける概日時計の役割2022

    • 著者名/発表者名
      中村勇規,中尾篤人
    • 学会等名
      第29回 日本時間生物学会学術大会
  • [学会発表] Type2炎症経路における上皮サイトカインの重要性2022

    • 著者名/発表者名
      中尾篤人
    • 学会等名
      第71回日本アレルギー学会学術大会
  • [学会発表] Circadian control of mast cell activation.2022

    • 著者名/発表者名
      中尾篤人
    • 学会等名
      第71回日本アレルギー学会学術大会

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公開日: 2023-12-25  

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