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2022 年度 実施状況報告書

Adipose shrinkageの慢性炎症制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K19433
研究機関大阪大学

研究代表者

森井 英一  大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10283772)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワード慢性炎症 / 脂肪組織 / RNA-seq / 遺伝子単離
研究実績の概要

クローン病を再発しやすい病巣と再発しにくい病巣を比較して、壁外脂肪組織の細胞の大きさに違いがあることをこれまで報告した。再発しやすい症例の場合、脂肪細胞の大きさが小さくなるadipose shrinkageという現象がみられる。そこで、壁外である漿膜下脂肪組織がどのように慢性炎症に関与するか検討するため、再発症例10例、非再発症例10例の病理組織検体より、壁外脂肪組織をマクロダイセクションして、RNA-seq解析を行い、adipose shrinkageに関連する遺伝子を検索した。現在のところ、再発症例で発現が低下する遺伝子群として41遺伝子が単離されている。これらの遺伝子群は再発を抑制する方向にある遺伝子である。遺伝子とタンパク質とは挙動が異なる可能性もあり、Proteomicsデータベースより、41遺伝子のコードするタンパク質が脂肪組織に発現しているかどうかを次に検討した。その結果、41種類のタンパク質の中で9種類のタンパク質が脂肪組織に発現していることがわかった。この9種類のタンパク質の中で、これまでクローン病との関連が報告されているものは4種類であった。このことは今回の解析がある程度、クローン病と関連した因子を抽出することに成功していることを示唆する。また残りの5種類のタンパク質は、これまでクローン病との関連が報告されておらず、新規のクローン病関連因子を同定することにつながる可能性もある。今後は、実際の病理検体において、今回単離されたタンパク質群が本当に発現に差があるのか、免疫組織化学的に検索を進める予定である。そのためには免疫染色が可能な抗体が必要となる。現在、これらの抗体を入手し、免疫染色を進める準備を行っている。また場合によっては、遺伝子発現レベルを検討するために、in situ hybridizationを施行することも検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

再発症例と非再発症例よりRNA-seqを実施し、発現に差のある遺伝子を単離することができている。またそのいくつかはこれまでクローン病と関連することが報告されており、本解析が正しい方向で行われていることが示唆されている。また、クローン病との関連を報告されていない遺伝子も多数単離されており、新たな研究の糸口にたどり着いていると言える。

今後の研究の推進方策

実際の病理検体において、今回単離されたタンパク質群が本当に発現に差があるのか、免疫組織化学的に検索を進める予定である。そのためには免疫染色が可能な抗体が必要となる。現在、これらの抗体を入手し、免疫染色を進める準備を行っている。また場合によっては、遺伝子発現レベルを検討するために、in situ hybridizationを施行することも検討している。さらに、現在のところは再発症例で発現低下を示す遺伝子のみが単離されているが、逆に再発症例で発現亢進を示す遺伝子も、さらに症例数を積み重ねることで単離することを計画している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Ovarian high‐grade serous carcinoma cells with low SMARCA4 expression and high SMARCA2 expression contribute to platinum resistance2023

    • 著者名/発表者名
      Kido Kansuke、Nojima Satoshi、Motooka Daisuke、Nomura Yusuke、Kohara Masaharu、Sato Kazuaki、Ohshima Kenji、Tahara Shinichiro、Kurashige Masako、Umeda Daisuke、Takashima Tsuyoshi、Kiyokawa Hiroki、Ukon Koto、Matsui Takahiro、Okuzaki Daisuke、Morii Eiichi
    • 雑誌名

      The Journal of Pathology

      巻: 260 ページ: 56~70

    • DOI

      10.1002/path.6064

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Tumor cell plasticity in endometrioid carcinoma is regulated by neuronal membrane glycoprotein M6?b2022

    • 著者名/発表者名
      Kusumoto Shinya、Ikeda Jun-Ichiro、Kurashige Masako、Maeno?Fujinami Etsuko、Tahara Shinichiro、Matsui Takahiro、Nojima Satoshi、Okuzaki Daisuke、Morii Eiichi
    • 雑誌名

      Oncology Letters

      巻: 25 ページ: 45-45

    • DOI

      10.3892/ol.2022.13631

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mutually exclusive expression of EZH2 and H3K27me3 in non-small cell lung carcinoma2022

    • 著者名/発表者名
      Onishi Takafumi、Takashima Tsuyoshi、Kurashige Masako、Ohshima Kenji、Morii Eiichi
    • 雑誌名

      Pathology - Research and Practice

      巻: 238 ページ: 154071~154071

    • DOI

      10.1016/j.prp.2022.154071

    • 査読あり
  • [学会発表] 腫瘍の多様性2023

    • 著者名/発表者名
      森井英一
    • 学会等名
      第31回愛媛県臨床細胞学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 多様性という視点からみた腫瘍動態2023

    • 著者名/発表者名
      森井英一
    • 学会等名
      第47回大阪府臨床細胞学会学術集会特別講演
    • 招待講演
  • [学会発表] 創薬研究における薬理―病理連携の必要性2022

    • 著者名/発表者名
      森井英一
    • 学会等名
      第96回日本薬理学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] 幹細胞の観点から考える子宮内膜癌のバイオロジー2022

    • 著者名/発表者名
      森井英一
    • 学会等名
      第61回日本臨床細胞学会秋期大会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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