合成致死性とは細胞内の2つの遺伝子が両方とも機能欠損したときに細胞死が起こる現象である。この現象は、似ている遺伝子同士(パラログ)でもしばしば起きる。片方のパラログがない細胞では、相方のパラログを抑制すると合成致死性となる。このとき、相方のmRNAが転写レベルで増加する遺伝学的相補機構がマウスなどの下等生物において知られていた。本研究では、パラログのノックアウト細胞株におけるヒト細胞モデルで遺伝学的相補機構を検証した。その結果、片方のパラログが欠損しても、相方のパラログが相補する現象は、遺伝学的相補機構による転写制御ではなく、タンパク質の量的制御が関与していると考えられた。
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