研究課題
挑戦的研究(萌芽)
全イントロンのわずか0.3%は、進化的に保存された特徴的な分岐点配列や5′配列を有しており、興味深いことに、それらは細胞の生存や恒常性の維持において不可欠な遺伝子のみに通常一つ含まれている。このような特殊イントロンは数の少なさから「マイナーイントロン(U12タイプ)」と呼ばれ、通常のイントロンとは異なる機構で除去される。本研究では、マイナーイントロンとがんとの関連や、進化的に保存されてきた意義についての探索を行い、その存在意義を明らかにした。
血液内科学
マイナーイントロンの制御破綻は血液がんを中心に認められているが、そのような特殊なスプライシング機構がなぜ進化の過程で保存されてきたのかは全く明らかになっていなかった。そこで、Pten遺伝子のマイナーイントロンをゲノムから除去したマウスモデルを作成し、造血幹細胞の機能を評価したところ、ストレス下において幹細胞性の維持が困難となることが明らかとなり、進化的保存の意義の一端を明らかとした。この研究はマイナーイントロンの制御破綻と発がんや老化をつなぐ上で、土台となる成果と言える。