本研究では、進化的にヒトに近縁な実験動物であるサル類において、改変ウイルスベクターを用いた全脳的な遺伝子導入による疾患関連遺伝子の発現制御などの効率的な疾患モデル霊長類の作出法、およびAIを利用したモデル動物の症状の効率的かつ定量的な解析法を確立することを目的とする。 今年度は、8台同期カメラによる同期撮像ビデオに対し、サル検出AI、個体識別AI、特徴点推定AIの3つのAIを組み合わせて個々の映像解析を行い、複数のカメラ情報の統合に姿勢の類似性などを利用するcross-view matching法を利用し、また間接長一定などの拘束条件によるスムージングを行うことにより、多個体3Dマーカーレスモーションキャプチャーを高精度で行なうアルゴリズムをマカクサルおよびマーモセットにおいて確立した。さらに、得られる三次元モーションデータを解析することで、自動的かつ定量的な病態解析や社会行動解析が実現出来ることを実証し、それらの結果を論文として投稿した。また、MPTP投与やα-シヌクレイン遺伝子およびα-シヌクレインフィブリル投与によるマカクサルおよびマーモセットのパーキンソン病モデルを作出し、機械学習による運動症状の自動解析法を開発して、、パーキンソン病のいくつかの症状を定量することに成功した。さらに、マカクサル統合失調症もでるおよびマーモセット自閉症モデルを作出し、その社会行動解析を開始した。
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