研究課題/領域番号 |
22K19484
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
成清 公弥 東邦大学, 医学部, 助教 (70599836)
|
研究分担者 |
船戸 弘正 東邦大学, 医学部, 教授 (90363118)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
キーワード | 幻覚 / 統合失調症 / せん妄 / NMDA受容体拮抗薬 / ムスカリン受容体拮抗薬 / 脳波 / TRAP2 |
研究実績の概要 |
本研究は、幻覚が生じている時の脳において、どのような感覚情報処理が行われているのかを明らかにすることを目的とする。統合失調症やせん妄の症状には、幻覚が含まれることから、これらの症状を誘発する薬剤を用いて実験モデルを作成した。統合失調症のモデルとしてNMDA受容体拮抗薬(MK-801)、せん妄のモデルとしてムスカリン受容体拮抗薬(スコポラミン)を用いた。本年度は、活動した神経細胞を蛍光標識できる遺伝子改変マウス(TRAP2 x Ai9マウス)を使用し、MK-801およびスコポラミンの投与による神経細胞の活動を脳全体で観察した。MK-801の投与では、常同行動などの異常行動を引き起こす用量(1mg/kg)で、視床、嗅内皮質、脳梁膨大後部皮質などに多くの蛍光発現細胞が見られた。一方、作業記憶と参照記憶に障害を引き起こす用量(1mg/kg)のスコポラミンの投与では顕著な異常行動は見られなかったが、嗅結節に特徴的な蛍光発現細胞が見られた。自由行動下の大脳皮質脳波記録において、MK-801の投与は異常行動とともに1Hz程度の顕著な脳波を生じた。対して、スコポラミンの投与では脳波に顕著な変化は見られなかった。現在、マウスにおける幻覚様の症状を検証するため、聴覚刺激(ブザー音)と体性感覚刺激(尾の振動刺激)を連合して提示する装置を開発中である。今後、大脳皮質の広域カルシウムイメージングを行いながら、刺激の連合提示に対する大脳皮質の応答を各薬剤投与条件で比較検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
活動した脳領域のマッピング、神経活動記録、広域カルシウムイメージングは、比較的順調に行えたが、幻覚様の症状を検証するための実験系の開発が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は幻覚様の症状を検証するための実験系の開発を最優先に進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
主として、年度内に研究試料の購入に使用予定であったが、実験結果により購入する研究試料の見直しが必要となり、購入を延期した。見直し後に当該の研究試料の購入に充てる予定である。
|