研究実績の概要 |
1)オリゴデンドロサイト(ODC)の移動・局在・形態のin vivo解析: マウス大脳皮質のODCでNRG1遺伝子の発現抑制を行い、発達障害の病態をin vivoで模倣すた。固定標本を作成し、発生過程全般でODCの形態・移動・局在を免疫組織観察したところ、細胞形態の異常が観察された。 2)成熟後のODCの髄鞘形成のin vivo解析:マウスODCを分化・成熟させると、ニューロン軸索での髄鞘形成が起こり、ニューロン機能が正常に発現される。そこで、NRG1遺伝子の発現抑制を行い、遺伝子異常をin vivoで模倣した際に、髄鞘形成に及ぼす影響を経時的(胎生15日(E15), 生後0日(P0), P7, P15, P30, P60)に免疫組織学解析した。その結果、髄鞘形成に有意な形態変化は認められなかった。現在、実験条件を検討して、表現型の観察を行なっている。 3)ODC遺伝子異常がニューロンに及ぼす間接的影響のin vivo解析: ニューロンとODCには密接な相互作用がある。そこで、ONRG1遺伝子の発現抑制を行い、DCで遺伝子異常をin vivoで模倣した際の、i)ランビエ絞輪近傍の軸索へのK+-およびNa+-チャネル集積、ii)その後のニューロン形態やシナプス形成に及ぼす影響を観察した。現在までのところ、胎生15, 生後0, 15, 30日に観察しているがチャネルの集積に変化は見られない。そこで、電気生理学的解析によって、大脳皮質ニューロンのシナプスが機能的に障害を受けているかどうかを現在検討中である。特に、活動電位、誘発電位、NMDA/AMPA受容体機能が受ける影響について生後7日で解析中である。
|