我々は過去に、脂肪細胞型脂肪酸結合タンパク質Fatty acid binding protein 4 (FABP4)の機能低下が自閉症病態形成に関与する可能性を報告した。しかし、以前の研究ではFABP4機能低下が神経系に影響を与える時期が特定できなかった。本研究では、特に脳発達期に限局してFABP4機能低下の影響を調べた。その結果、FABP4機能低下群では、自閉症様の行動表現型、錐体細胞樹状突起スパイン密度の上昇を認めた。さらに、母体の血漿を用いた脂肪酸解析の結果、複数の脂肪酸組成の変化が見られた。これらの脂肪酸組成の変化が、自閉症のリスク形成につながる可能性が推測された。
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