研究課題/領域番号 |
22K19517
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岸川 孝弘 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00724171)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 膵癌 / 二重鎖RNA / ノンコーディングRNA |
研究実績の概要 |
本研究では特定の環境下で細胞内に形成される左巻き構造を持つZ形核酸が膵癌および周囲の正常組織で高発現していることに着目し、「膵癌組織で過剰に蓄積されるRNAの構造変化が周辺正常組織に伝達され、腫瘍の進展に有利な微小環境を提供する」という新規の癌進展モデルを提唱することを目的としている。これに対して、①どのようなZ型核酸Aが膵癌組織で高発現しているか、②これらは癌から分泌され、周辺細胞に取り込まれるか、③Z型核酸を取り込んだ正常組織はどのような変化をきたすか、という3つの検討項目を設定して分子生物学的検討を加えている。今年度は、膵癌細胞株を用いて、Z型核酸を強制発現させることによる表現型の変化の観察を行うために安定したZ型核酸の発現法について検討を行った。Z型構造をとりやすい核酸配列を有するオリゴRNAを細胞にlipofectionし、Z型核酸特異的抗体による蛍光免疫染色を行ったが、2日後の観察で検出不能であり細胞内での安定性が乏しいことが考えられた。そのため、Z型核酸を細胞内で安定させる化学修飾を加えることが必須と考えられ、化学修飾したRNAを用いたオリゴRNAの精製について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞内で安定してZ型構造を維持するオリゴの合成に時間を要した。これを用いた細胞株における検討については次年度に行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
人工Z型核酸を導入し、細胞内で安定発現していることについての確認を行う。 また膵癌細胞株由来の細胞外小胞を抽出し、ラベルしたZ型核酸の検出を試みるとともに。細胞外小胞の取り込みによるZ型核酸の細胞間伝播について検討を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
人工合成核酸の合成に難渋し、原料の再輸入、再合成に時間がかかり、修飾核酸の納入が今年度末となってしまった。次年度は納入された核酸試薬を用いて細胞実験を開始することが可能となったため、膵癌細胞株を用いた検討を加えていく予定である。
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