本課題ではオルガノイドの培養技術、遺伝子改変技術ならびに「オルガノイド医療」実用化の実績を統合し、「パーソナル化・機能性蛋白産生オルガノイド」の作成・開発と技術的フィージビリティの検証等を目的として研究を推進している。本年度は当初研究計画に従い「機能性蛋白産生オルガノイド(Pro-f-オルガノイド)のパーソナル化技術の開発」および「Pro-f-オルガノイドの移植による疾患治療における前臨床POC(Proof-of-concept)の取得」について研究を実施した。その結果、以下のような成果を得るに至っている。1) 機能性神経内分泌腫瘍(f-NET)由来オルガノイドを用いた解析より得られた遺伝子発現パターンを元に、特定の分泌蛋白の発現を制御する候補因子群(発現制御ユニット)を同定した。同知見を基に異なる分泌蛋白産生パターンを備えたオルガノイドの作成手法の開発を行い、一定の進展が得られた。2)前年度における検討や 「Pro-f-オルガノイドのパーソナル化技術の開発」における検討にて樹立したオルガノイド等を直腸・遠位大腸に移植する際の手技や前処置についての検討により、薬剤を用いた粘膜剥離モデル及びDSS(デキストラン硫酸)誘発性腸炎等について、一定の効率で生着が得られる条件等が確認された。また細径内視鏡を用いて生体マウス腸管内を経時的に観察し、生着面の局在・面積等を評価する系についても確立し、検証を終了した。
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