1)カニクイザルiPS細胞由来心筋細胞の作製とレシピエントカニクイザルの同定 フィリピン産カニクイザル5頭から、皮膚組織由来線維芽細胞に対して、エピゾーマルベクターを用いてOct3/4、Sox2、Klf4、L-Mycを遺伝子導入することによりiPS細胞を5系統作製した。未分化iPS細胞に対して、アクチビンA、BMP4を加えることにより、レシピエト1頭当たり2×10^8個の心筋細胞を3頭分作製し、凍結保存した。またレシピエントカニクイザルについて、MHC型同定を行い、15頭確保した。 2)霊長類前臨床移植試験 レシピエント動物に対して、全身麻酔下で開胸し、左冠動脈前下行枝中部で血流を遮断し、3時間後に再灌流することにより心筋梗塞モデル(ischemia/reperfusion injury)を作製する。心筋梗塞作製12週間後の慢性期に、自家移植(N=2)を行った。4週間後の組織解析では、グラフト心筋に対する炎症細胞浸潤が見られた。自己細胞移植においても、一定程度免疫応答が誘発されることが示され、少量の免疫抑制剤を併用して移植試験を再開することとした。
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