研究課題
進行期肺癌は癌死亡数が第1位の難治癌の代表である。その中で、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有する肺癌(EGFR肺癌)は、日本人の非喫煙者に発生する肺腺癌の半数以上を占める非常に重要な疾患であり、根治的な効果をもたらす新規治療戦略の開発が強く求められている。多分化能、多剤薬剤耐性能をもつ癌幹細胞(cancer stem cells:CSCs)が根治の障壁として重要な役割を担っていると考えられてるが、病態は未解明である。また、CSCsのin vivoモデルは確立しておらず、CSCsと腫瘍微小環境(tumor microenvironment: TME)の間質細胞、免疫細胞との相互関係についても未解明である。Egfr変異をマウス2型肺胞上皮(AT2)細胞へ特異的に発現させた肺癌マウスモデル(C57BL/6 Egfrex19del)、及び皮下移植により継代可能なシンジェニックマウスモデルを樹立した。さらに癌幹細胞を分離するためのマーカーとして、幹細胞のマスター転写因子の一つであるOct4に着目し、Oct4発現をGFPで標識した遺伝子改変マウス(RBRC00821)を理化学研究所バイオリソースセンターから供与を受けた(以下C57BL/6 Oct4-GFPと標記)。岡山大学動物資源部門においてこれらマウスを交配し、新たに作製したマウス(C57BL/6 Egfr/Oct4-GFP)の肺腫瘍から、皮下移植にて継代できるシンジェニックマウスを作製した。GFPの自家蛍光を処理方法の確立に時間を要したが、GFPの陽性、陰性にて細胞ソーティング、植え付け、in vivoでの薬剤感受性試験を行うことができ、再現性の確認中である。
2: おおむね順調に進展している
GFPの自家蛍光を処理方法の確立に時間を要したが、GFPの陽性、陰性にて細胞ソーティングを行うことができ、再現性の確認中である。蛍光免染など手技の安定化により、今後、研究は進行予定である。
GFP,Oct4の陽性、陰性で細胞選別し、マウスへの生着能、転移能の評価を繰り返す。またOct4陽性細胞の薬剤耐性の評価、RNAsequencingなどにより治療標的の同定を目指す。
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