研究課題
[1]消化管運動の時空間的協調性における下部食道括約筋の役割の解明:本研究では、下部食道括約筋の弛緩反応が障害されている食道アカラシアでは、PIEZO2を代表として計8つの機械受容チャネルの発現が低下していた。食道アカラシアでは、ミオシン脱リン酸化酵素阻害蛋白CPI-17の発現が低下することで、通常30%程度認めるミオシン軽鎖リン酸化レベルが10%まで低下していた。下部食道括約筋の時空間的協調的な弛緩反応には、これら機械受容チャネルとミオシン軽鎖リン酸化が重要な役割を果たすことを明らかにした。[2]中枢神経による消化管括約筋機能の制御機構の解明:本研究では、排便中枢の局在と機能的役割の解析を試みた。逆行性トレーサーである仮性狂犬病ウイルスや光遺伝学的手法などにより、CRH/VGluT2活性化が肛門括約筋調節に関与すること、TH活性化は直腸肛門調節に関与しないことが示唆された。更にPRVをBarに感染させることで排便上位中枢候補の同定とファイバーフォトメトリー法によるBarの神経活動を捉えることに成功した。以上により、肛門括約筋調節は排便上位中枢よりバリントン核(Bar)を介して、CRHと VGluT2発現ニューロンが排便に関与することが示唆された(論文投稿準備中)。[3]数理モデルによる消化管運動の時空間的協調性の制御機構の統合的理解:神経細胞の活動性および筋細胞の活動性を調節する各種パラメーターを導入したFitsHugh-Nagumo方程式にて食道運動を模倣する数理モデルを開発に成功した。モデルのパラメーターを操作することにより、正常食道運動のみならず、食道アカラシア、ジャックハンマー食道および遠位食道痙攣といった食道運動異常症の内圧波形の再現が可能であった(論文投稿中)。今後、消化管運動の時空間的協調性の制御機構の統合的理解を行ううえで有用なツールとなる。
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