加齢変化による心筋細胞の鉄代謝とその変容の意義についてマウスを用いて解析を行った。加齢マウスの心臓における2価鉄は若齢マウスに比べ明らかな減少を認めた。加齢心臓における2価鉄の減少に注目し、心筋細胞において2価鉄の増加した加齢遺伝子改変マウスを用いて心機能解析を行い、左室駆出率の増加、心壁肥厚を認め、左室拡張機能障害は認めなかった。さらに酸化ストレスの増加、心不全マーカーの増加を認めるものの、抗酸化物質の増加や生存解析に差異を認めなかった。心筋細胞内2価鉄の持続的な増加は心機能を亢進させるが、心不全病態進行への関与の可能性が示唆された。
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