研究課題/領域番号 |
22K19536
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
森田 英明 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, 室長 (90365320)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | アレルギー / タフト細胞 |
研究実績の概要 |
近年、上皮細胞の一種で様々な味覚受容体を持つ特殊な細胞である「タフト細胞」が消化管、呼吸器、胆管、尿道、胸腺を含む全身の臓器に一定数存在することが報告され注目を集めている。一方で、このタフト細胞が炎症性疾患においてどのような役割を担っているのかは不明な点が多い。そこで、本研究では、全身のタフト細胞の炎症性疾患における関与を明らかにし、味覚刺激による全身炎症性疾患の発症、増悪に関与する因子を探索することを目的とする。 本年度はタフト細胞の特徴解析と、炎症性疾患モデルにおけるタフト細胞の動態解析を行った。具体的には、タフト細胞のレポーターマウスの肺を酵素処理し、タフト細胞とそれ以外の上皮細胞を分離sortingした後にRNA-seqを用いて解析することを試みた。その結果、肺から分離した細胞に含まれているタフト細胞の総数が極端に少なく、RNA-seq解析に十分でないことが明らかとなった。現状で用いている分離方法は肺胞細胞の分離に適しており、タフト細胞が存在する気管支上皮特化した分離方法を検討する必要があることが判明した。また、味覚刺激物質の一つであるコハク酸を投与した際の、呼吸器における免疫細胞組成の変化、及び喘息様気道炎症に及ぼす影響を検討した。その結果、コハク酸を経口投与したマウスに経気道的に抗原を経気道的に投与すると喘息様気道炎症が増悪することを見出した。これらの事実は、味覚刺激がアレルギー性の気道炎症の惹起に関与している可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気道炎症に味覚物質が関与している可能性を見出すことができた。気道におけるタフト細胞の解析には、細胞の分離方法の最適化が必要と考えられる。次年度はタフト細胞に特化した細胞分離方法の最適化も行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、味覚刺激物質による炎症惹起機構の詳細を検討する。具体的には、コハク酸を経口投与した際の肺の免疫プロファイル、タフト細胞の動態の検討や、コハク酸を経気道的に投与した際の肺の免疫プロファイル、タフト細胞の動態の検討を行う。肺からのタフト細胞分離方法の最適化を行い、肺のタフト細胞をsortingsした後にその特徴解析を行う。また、この系におけるタフト細胞の関与をタフト細胞欠損マウスを用いて検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
肺タフト細胞のRNAseq解析を次年度に行うことにしたため。
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