本研究において、造血幹細胞において相反する2面的効果を示すサイトカインに対する応答の様式決定において、代謝制御、特にグルタミン代謝が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。グルタミン代謝は盛んに分裂する細胞でみられる普遍的な代謝であることから、特に分裂誘導時におけるサイトカイン応答制御の理解という観点においては、その波及効果は造血幹細胞に留まらないと期待される。また、造血幹細胞の運命制御の理解が深まることで、再生治療・遺伝子治療を視野に入れた試験管内における幹細胞操作方法の開発や、抗癌剤投与の副作用として知られている骨髄抑制に対する新規の治療法の開発につながることが期待される。
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