本研究は、ATPバイオセンサーを用いて、造血幹細胞の単一細胞レベルでのATP濃度をリアルタイムに測定する技術を確立した。引き続き、これらの技術を活用して、ATP濃度の変動が幹細胞の運命決定や細胞動態にどのように影響するかを詳細に解析した。その結果、造血幹細胞が急性ストレスに直面すると、ATPの産生源として嫌気的解糖を迅速に活性化することを発見した。具体的には、増殖ストレス下ではアルギニンメチル基転移酵素PRMT1がPFKFB3をメチル化し、ミトコンドリアストレス下ではAMPKがPFKFB3をリン酸化することにより解糖系を活性化することが明らかになった。
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