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2022 年度 実施状況報告書

メッセージカプセル・エクソソームによるがん転移のメカニズム解明と封じ込め戦略

研究課題

研究課題/領域番号 22K19562
研究機関岡山大学

研究代表者

松川 昭博  岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90264283)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワードエクソソーム / Triple negative乳がん / 転移 / がん幹細胞性
研究実績の概要

乳がんの10-15%を占めるTriple negative乳がん(TNBC)は、若年者に多く3年以内に再発転移しやすい予後不良のがんである。応募者は、マウスTNBCである4T1細胞は高転移性がん(HM.4T1)と低転移性がん(LM.4T1)の亜集団からなり、②2つの亜集団を混ぜて埋植すると肺転移が増加すること、HM.4T1の肺転移は、LM.4T1由来のエクソソーム投与で更に増加することを見いだした。異なるがん亜集団由来のエクソソームが、がん転移を促進するという世界初の画期的な発見である。このメカニズムを詳細に解析するため、LM.4T1由来のエクソソームを、HM.4T1細胞に添加したとこと、HM.4T1も移動能と浸潤能、幹細胞性は有意に促進した。GEOデータベースの解析から、Wnt7aが増強作用に関与している可能性が示唆された。実際、LM.4T1細胞由来のエクソソームにはWnt7aが多く検出され、Wnt7aを欠損させるとHM.4T1の肺転移が減少することがわかった。Wnt7aはPI3K/Akt/mTORシグナル経路を介してHM.4T1細胞の幹細胞性を増加させた。LM.4T1腫瘍の間質には、αSMA陽性線維芽細胞とCD31陽性内皮細胞(EC)の数が多く、Wnt7aを欠損させると腫瘍間質におけるECの数が減少することがわかった。このように、低転移性サブクローンがエクソソームWnt7aを介して高転移性サブクローンの肺転移を促進することを初めて証明した。Wnt7aはTNBC患者の治療のための分子標的となる可能性が示唆された。
また、HM4T1細胞はLM.4T1に比べて鉄代謝能がことなり、鉄キレート剤によりHM.4T1の治療が促進される可能性も明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画の基幹部分が達成でき、論文として発表出来たため。

今後の研究の推進方策

○マウス実験で得た知見がヒトでどうか、患者検体を用いて検討する。
○エクソソーム分泌のメカ二ムズとして、がん増殖・進展に関わる、ERK-MAPKが考えられる。ERK-MAPKの内因性抑制因子であるSpred2によるエクソソームの分泌調整を明らかにする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] SPRED2: A Novel Regulator of Epithelial-Mesenchymal Transition and Stemness in Hepatocellular Carcinoma Cells2023

    • 著者名/発表者名
      Gao T, Yang X, Fujisawa M, Ohara T, Wang T, Tomonobu N, Sakaguchi M, Yoshimura T, Matsukawa A
    • 雑誌名

      Int J Mol Sci

      巻: 24 ページ: 4996

    • DOI

      10.3390/ijms24054996.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Highly Metastatic Subpopulation of TNBC Cells Has Limited Iron Metabolism and Is a Target of Iron Chelators2023

    • 著者名/発表者名
      Wang Y, Ohara T, Chen Y, Hamada Y, Li C, Fujisawa M, Yoshimura T, Matsukawa A
    • 雑誌名

      Cancers (Basel)

      巻: 15 ページ: 468

    • DOI

      10.3390/cancers15020468.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Exosomal Wnt7a from a low metastatic subclone promotes lung metastasis of a highly metastatic subclone in the murine 4t1 breast cancer2022

    • 著者名/発表者名
      Li C, Yoshimura T, Tian M, Wang Y, Kondo T, Yamamoto KI, Fujisawa M, Ohara T, Sakaguchi M, Matsukawa A
    • 雑誌名

      Breast Cancer Res

      巻: 24 ページ: 60

    • DOI

      10.1186/s13058-022-01557-5.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] TNBCにおける転移能の獲得と鉄代謝の変動2023

    • 著者名/発表者名
      王宇沢、大原利章、チン ユエファ、浜田祐輔、李春寧、藤澤真義、松川昭博
    • 学会等名
      第112回日本病理学会総会
  • [学会発表] 転移性トリプルネガティブ乳がんに対する鉄キレート剤の効果2022

    • 著者名/発表者名
      Yuze Wang, Chunning Li, Miao Tian, Yuehua Chen, Teizo Yoshimura, Masahiro Fujisawa, Toshiaki Ohara, Akihiro Matsukawa
    • 学会等名
      第111回日本病理学会総会
  • [学会発表] 4T1細胞放出Wnt7aを含む小胞小体細胞亜群通信に関与し肺への細胞転移を促進2022

    • 著者名/発表者名
      Cunning Li, Teizo Yoshimura, Miao Tian, Yuze Wang, Takamasa Kondo, Ken-ichi Yamamoto, Masayoshi Fujisawa, Toshiaki Ohara, Masakiyo Sakaguchi, Akihiro Matsukawa
    • 学会等名
      第111回日本病理学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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