研究課題/領域番号 |
22K19587
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小早川 和 九州大学, 大学病院, 助教 (40772322)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | アストロサイト / 脊髄損傷 / マクロファージ / 遊走 |
研究成果の概要 |
脊髄損傷後マクロファージから分泌されるATPがADPとなり、これが反応性アストロサイトP2Y1受容体と反応して細胞内シグナリングを経て遊走を促す可能性が示された。一方でP2Y1受容体のinhibitorであるMRS-2179を脊髄損傷後に髄注したところ、アストロサイトの求心性遊走が阻害される事が判明した。これらの結果は、損傷中心部へ遊走・集簇したマクロファージが分泌したATPがADPとなり、このADPが反応性アストロサイトのP2Y1Rを介して遊走を促進した可能性を示している。
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自由記述の分野 |
整形外科学、中枢神経損傷
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脊髄への直接の外力による一次損傷の後、マクロファージ等の炎症細胞による炎症によって起きる続発的な二次損傷が脊髄損傷を重症化させると考えられてきた。しかし今回の結果は、「これまで有害な現象とされてきた炎症細胞の遊走」が、脊髄組織修復に重要なアストロサイトの遊走を促進する事により、組織修復と運動機能回復に貢献している事が示された。今後の更なる研究により、アストロサイトの遊走を実質的に促し、炎症細胞をより狭い範囲へ収束させ、軸索伸展・再生阻害因子であるグリア瘢痕を縮小する事に成功すれば、炎症細胞浸潤抑制主義一辺倒の世界の研究の潮流に変革をもたらす重要な知見を本研究は示している。
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