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2022 年度 実施状況報告書

ヒトiPS細胞由来の視神経細胞とミュラー細胞を用いた実験系開発と応用創出

研究課題

研究課題/領域番号 22K19606
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

東 範行  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 非常勤講師 (10159395)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワードヒトiPS細胞 / 網膜ミュラー細胞 / 網膜神経節細胞 / 軸索 / 成長因子
研究実績の概要

ヒトiPS細胞から網膜ミュラー細胞を自己分化によって作成することに成功した。iPS細胞を3次元浮遊培養して脳と網膜原基にまで分化させた後に平面培養に移行することによって、網膜原基から培養皿上で遊走する形で分化した。
作成したミュラー細胞はクララボ、グルタミンシンセターゼ、ビメンチン、glial fibrillary acidic protein(GFAP)等のミュラー細胞マーカーの免疫染色に陽性を示し、ことにクララボのような幼若な細胞を示す染色が強い陽性をし示した。マイコロアレイによる遺伝子プロファイルも、ミュラー細胞に一致しており、幼若なグリア細胞であることも示唆された。
ヒトiPS細胞から誘導した網膜神経節細胞と共培養すると、網膜神経節細胞の軸索はこのミュラー細胞に沿って顕著に軸索が伸長した。発生においては網膜神経節細胞の分化と軸索伸長にミュラー細胞が関与していると考えられている。今回の所見は、このヒトiPS細胞由来ミュラー細胞が網膜神経節細胞の軸索の誘導を行っていることを示すものであり、そこから産生される成長因子が細胞間で伝達されていることも示唆された。
このミュラー細胞の培養上清をヒトiPS細胞由来網膜神経節細胞の培養液に添加すると、網膜神経節細胞の軸索伸長が亢進した。これによって、細胞外神経栄養因子がミュラー細胞から分泌されていることが強く示唆された。培養上清のプロテオーム解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒトiPS細胞から網膜ミュラー細胞を作成したことは、免疫染色と遺伝子プロファイルから証明された。幼若であれば発生過程であり、網膜神経節細胞の分化と軸索伸長に影響するので研究目的に合致しており、この点についても証明した。
ヒトiPS細胞由来網膜神経節細胞の軸索伸長を亢進することも明らかになった。

今後の研究の推進方策

ヒトiPS細胞由来網膜ミュラー細胞から神経栄養因子が放出されていることが強く示唆されたので、培養上清のプロテオーム解析を進める。
候補化合物を明らかにした段階で、個々の化合物の網膜神経節細胞の分化と軸索伸長への影響を比較検討する。この個々の検討に時間を要すると思われる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Integrator complex subunit 15 controls mRNA splicing and is critical for eye development.2023

    • 著者名/発表者名
      Azuma N, Yokoi T, Tanaka T, Matsuzaka E, Saida Y, Nishina S, Terao M, Takada S, Fukami M, Okamura K, Maehara K, Yamasaki T, Hirayama J, Nishina H, Handa H, Yamaguchi Y.
    • 雑誌名

      Hum Mol Genet

      巻: 32 ページ: 2032-2045

    • DOI

      10.1093/hmg/ddad034

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A pediatric case of congenital stromal corneal dystrophy caused by the novel variant c.953del of the DCN gene.2023

    • 著者名/発表者名
      Morikawa H, Nishina S, Torii K, Hosono K, Yokoi T, Shigeyasu C, Yamada M, Kosuga M, Fukami M, Saitsu H, Azuma N, Hori Y, Hotta Y.
    • 雑誌名

      Hum Genome Var

      巻: 10 ページ: 9

    • DOI

      10.1038/s41439-023-00239-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Tachibana N, Hosono K, Nomura S, Arai S, Torii K, Kurata K, Sato M, Shimakawa S, Azuma N, Ogata T, Wada Y, Okamoto N, Saitsu H, Nishina S, Hotta Y. Maternal Uniparental Isodisomy of Chromosome 4 and 8 in Patients with Retinal Dystrophy: SRD5A3-Congenital Disorders of Glycosylation and RP1-Related Retinitis Pigmentosa.2023

    • 著者名/発表者名
      Tachibana N, Hosono K, Nomura S, Arai S, Torii K, Kurata K, Sato M, Shimakawa S, Azuma N, Ogata T, Wada Y, Okamoto N, Saitsu H, Nishina S, Hotta Y.
    • 雑誌名

      Genes (Basel)

      巻: 13 ページ: 359

    • DOI

      10.3390/genes13020359

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effect of Intravitreal Aflibercept vs Laser Photocoagulation on Treatment Success of Retinopathy of Prematurity: The FIREFLEYE Randomized Clinical Trial.2022

    • 著者名/発表者名
      Stahl A, Sukgen EA, Wu WC, Lepore D, Nakanishi H, Mazela J, Moshfeghi DM, Vitti R, Athanikar A, Chu K, Iveli P, Zhao F, Schmelter T, Leal S, Kofuncu; E, Azuma N
    • 雑誌名

      JAMA

      巻: 328 ページ: 348-359

    • DOI

      10.1001/jama.2022.10564

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Intravitreal aflibercept for retinopathy of prematurity: Phase 3.2022

    • 著者名/発表者名
      東 範行
    • 学会等名
      第126回日本眼科学会
  • [学会発表] 眼遺伝疾患から明らかになった細胞の制御システム2022

    • 著者名/発表者名
      東 範行
    • 学会等名
      Japan Macula Club
    • 招待講演
  • [学会発表] 小児眼底疾患の診かた 考えかた2022

    • 著者名/発表者名
      東 範行
    • 学会等名
      愛知県眼科医会
    • 招待講演
  • [学会発表] 乳幼児の視力の発達と異常の 早期発見のポイントについて2022

    • 著者名/発表者名
      東 範行
    • 学会等名
      杉並園医会
    • 招待講演
  • [図書] 視能検査学. 第2版2023

    • 著者名/発表者名
      東 範行
    • 総ページ数
      369
    • 出版者
      医学書院
    • ISBN
      9784260032582
  • [図書] やさしい小児の眼科2023

    • 著者名/発表者名
      日本小児眼科学会(理事長 東 範行)
    • 総ページ数
      328
    • 出版者
      診断と治療社

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公開日: 2024-12-25  

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