研究課題/領域番号 |
22K19609
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (20210627)
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研究分担者 |
山本 悟 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10344524)
平田 恵理 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10722019)
高野 勇太 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (60580115)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | カーボンドット / カーボンナノ物質 / 薬剤担持 / 抗菌性 / 生体適合性 |
研究実績の概要 |
申請者らは、炭素原子のみから構成される新素材であるカーボンナノ物質(CNMs)を用いた生体材料の開発を目的として、CNMsの組織適合性、チタンへの表面修飾、薬剤の担持について研究を行ってきた。本研究においては、CNMsの一つであるカーボンドット (以下CD)に着目し、CDへの薬剤担持と光照射による放出制御、さらにリン酸カルシウムセラミックスへの担持を目的とした。CDは、その高い生体適合性と生分解性から、幅広い用途、特にバイオメディカル領域で新しい炭素材料としての応用が期待されている。本年度においては、CNMsの一種であるカーボンナノホーン (CNHs)にヒアルロン酸(HA)を介して抗菌剤であるミノサイクリン(MC)を結合して開発したCNHs-HA-MC複合体について、光照射による抗菌性を検討した。CNHs-HA-MC複合体に近赤外光を照射することにより、MC単独に比較し強い抗菌効果が得られた。この理由として、CNHsの光熱効果と光照射によるCNHsから放出したMCの静菌効果の相乗効果が考えられる。CNHs-HA-MC複合体の生体適合性についてもラット軟組織に埋入して起炎性のないことを確認した。CDについては、本年度も研究協力者であるA.Bianco博士を招いて合成や生体内での移行についてディスカッションを行い、MCを担持したCDを開発した。MCを担持したCDの抗菌性について確認するとともに、生体適合性をラット皮下組織に埋入して1週後の反応を検索し、生体適合性には問題ないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CDの合成、抗菌剤の修飾、抗菌性の確認に若干の時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
CNHs-HA-MC複合体についてはin vitroの成果を論文にして発表するとともに、in vivoにおける抗菌性の検索、長期的な生体反応の確認を行う。 CDについてはMCに加えて、成長因子(FGFやBMPなど)の担持と光による放出制御について検討するとともに、リン酸カルシウム系セラミックス(ハイドロキシアパタイトや炭酸アパタイト)への表面処理を行い、in vivoにおける効果を検索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
カーボンドット(CD)の合成、抗菌剤の修飾、抗菌性の確認に若干の時間を要し、成長因子の担持、in vivoでの研究が予定通りに進まなかった。本年度にCDへの抗菌剤の担持と抗菌性の確認を行うことができたため、次年度は、成長因子の担持成長因子(FGFやBMPなど)の担持と光による放出制御について検討するとともに、リン酸カルシウム系セラミックス(ハイドロキシアパタイトや炭酸アパタイト)への表面処理等を行うことにより、材料や実験動物の購入費用、さらに論文作成のための英文校正や投稿費用に使用する。
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