研究課題/領域番号 |
22K19612
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
梶川 哲宏 東北大学, 大学病院, 講師 (90611252)
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研究分担者 |
向阪 幸彦 東北大学, 大学病院, 医員 (10760457)
山田 聡 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | MAIT細胞 / 歯周炎 / Dysbiosis / iPS化 |
研究実績の概要 |
Mucosal associated invariant T (MAIT) 細胞はT細胞受容体 (TCR) を介して、抗原提示細胞が細胞表面上に発現するMHC class I like protein (MR1) 受容体と結合し、細菌由来のビタミンB2合成経路で生成される中間産物を認識し活性化する、自然免疫型T細胞である。全身の各組織においてMAIT細胞の持つ機能が近年明らかになりつつある。例えばマウス肺感染症モデルを用いた解析により、MAIT細胞が肺に存在する細菌の量を減少させる働きを持ち、肺感染症がもたらす致死率を下げるという報告がある。 ところで、歯周病は細菌感染による炎症性疾患であるが、疾患の発症・進行においては病的な細菌叢への変化(dysbiosis)が重要な役割を持つ。歯周病に強く関与すると考えられている細菌群の中にビタミンB2誘導体を生成し得るものが存在することから、炎症歯周組織において増殖・活性化したMAIT細胞が、細菌感染症である歯周病に対し保護的に作用する可能性がある。そこで本研究計画では、induced Pluripotent Stem cell (iPS) 化技術を利用して、貪食された歯周病関連菌を効率よく認識するMAIT細胞の大量培養を行い、in vivo 歯周病モデルにおいて用いることで、その炎症抑制効果を検討することを目的とする。 本年度の研究においては、ヒト末梢血におけるMAIT細胞の存在をフローサイトメトリーを用いて確認した。同様に、マウス末梢血あるいはマウス歯周組織におけるMAIT細胞の割合を定常状態、および絹糸結紮歯周病モデルを用いた歯周組織炎症状態において解析を行った。さらにはセルソーターを用いたMAIT細胞の単離に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、Dysbiotic細菌叢特異的MAIT細胞の開発へ向けた重要な段階である「フローサイトメトリーを用いたMAIT細胞の検出」、それに引き続く「セルソーターを用いたMAIT細胞の単離」に成功したことから、2023年度に予定している研究計画を行う準備は整ったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
単離したMAIT細胞をiPS化することで、通常では困難なMAIT細胞の大量培養を行う。続いて、貪食された歯周病関連菌によって効率良く活性化受けるMAIT細胞クローンを選別する。歯周病モデルを適用させたマウスに対してこのMAIT細胞クローンを投与し、免疫細胞移植療法としての効果を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
セルソーターを利用する権利の取得に想定よりも期間を要し、2022年度に予定していた実験・解析の一部を2023年度に行うことになったため、次年度使用額が生じた。 今後は、2023年度の請求額と合わせて、本年度の研究遂行に使用する予定である。
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