研究課題/領域番号 |
22K19617
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
安部 力 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10585235)
|
研究分担者 |
森山 雅文 九州大学, 大学病院, 助教 (20452774)
竹下 徹 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50546471)
任 書晃 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80644905)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
キーワード | 交感神経 / 副交感神経 / 顎下腺 / 唾液 / 口腔保健 / 自律神経 |
研究実績の概要 |
神経を特異的に刺激するオプトジェネティクス(光遺伝学)技術は,ターゲット神経細胞にウイルスベクターや遺伝子改変動物の交配にて光受容体タンパクを発現させ,光を照射することで神経細胞を特異的に操作することができる。今年度の研究では,この技術を顎下腺に用い,自律神経光刺激を用いた唾液分泌促進手法を確立した。 ChAT-cre(副交感神経)およびDBH-creマウス(交感神経)とChR2-floxマウスをかけ合わせて,顎下腺を支配する各自律神経を操作できるマウスを作製した。約4週間のリカバリーの後,青色光照射を用いた唾液分泌能を電気抵抗測定器を用いて定量的に評価した。 顎下腺内に電気抵抗測定器のプローブを挿入し,青色光照射にて副交感神経や交感神経を活性化すると,顎下腺内電気抵抗値は低下した。このことから,副交感神経および交感神経のいずれかの自律神経活性化にて唾液分泌が促されていることが示唆された。 次に,光ファイバーを埋入・装着することなく顎下腺自律神経刺激ができる,近赤外光と希土類のランタノイドを用いた新しい低侵襲光遺伝学技術の確立を目指した。顎下腺上にランタノイドシートを埋入し,体外から近赤外光を照射すると,顎下腺内電気抵抗値は低下した。このことから,体外からの近赤外光照射を用いることで,低侵襲的に唾液分泌を促すことができる可能性が考えられた。これにより自由行動下マウスの顎下腺を長期間刺激することで,口腔内微生物叢の構成変化を捉えることができる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
老化マウスの使用ができていないものの,申請書に記載した初年度の目標を達成できているため,おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
近赤外光を用いた顎下腺自律神経操作による口腔内微生物叢構成への影響を明らかにするために,以下の手法にて研究を進めていく。 1)近赤外光で唾液腺操作ができるマウスおよびそのコントロールマウスを作製する。また顎下腺および耳下腺摘出マウスも作製する。 2)これらのマウスを断続的に近赤外光照射できるケージ内で2~4週間飼育する。 3)飼育終了時にマウスの口腔内微生物を採取し,網羅的16S rRNA遺伝子解析により各マウスの口腔内微生物叢構成を明らかにする。 この実験は口腔内微生物叢解析を専門とする研究分担者の竹下徹氏(九州大学)と行う。
|