研究課題/領域番号 |
22K19633
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中田 匡宣 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (90444497)
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研究分担者 |
大貝 悠一 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (40511259)
松本 愛理 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00962424)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 口腔内細菌 / 一本鎖可変断片 |
研究実績の概要 |
核酸解読技術の発展に伴い,全身疾患の病変で口腔内常在細菌が検出され,大腸癌と Fusobacterium nucleatum の関連などが報告されてきた.口腔内では,う蝕や歯周病の原因となるデンタルバイオフィルムが口腔内細菌の凝集により形成される.F. nucleatum はデンタルバイオフィルム形成過程において,歯面へ最も初期に定着するレンサ球菌等と後期定着菌である歯周病原細菌の間を架橋し,バイオフィルム構造を支持する役割をもつ.菌体から分泌される数多の表層タンパク質は,口腔内で他菌種との凝集とデンタルバイオフィルムの形成に関わり,歯周病の発症に関与する.さらに,口腔内から全身に伝播する際,様々なヒト細胞種に付着し,癌化に関連するシグナル伝達,および免疫回避を誘導する.したがって,F. nucleatumの表層タンパク質の機能阻害は,デンタルプラーク形成や大腸癌発生を制御し得る手段となり,Fn 菌の表層タンパク質は大腸癌の予後を予測するバイオマーカーとして有用であると考えられる.本研究では,抗原結合能を有する一本鎖可変断片をファージディスプレイ法により創生し,F. nucleatum の病原性の制御と検出に応用できるかについて検討することとした.本年度では,F. nucleatum の表層タンパク質の組換えタンパク質を作製した.また,レンサ球菌や他の口腔細菌との相互作用に寄与する因子について遺伝子変異株の作製を行った.今後,一本鎖可変断片を用いる感染制御の基盤となるデータを蓄積する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Fusobacterium nucleatum の複数種の表層タンパク質について遺伝子変異株と組換えタンパク質の作製を行ってきた.組換えタンパク質を用いる一本鎖可変断片の作製や一本鎖可変断片が及ぼす影響を解析することが可能となったため,概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
Fusobacterium nucleatum表層タンパク質の組換えタンパク質の作製を継続するとともに,人工ライブラリーの使用による一本鎖可変断片の作製を行う.そして,細菌間の相互作用に一本鎖可変断片が与える影響を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今後に行う解析に備えるため,使用菌株と解析する菌体表層タンパク質の選択を行う必要であったためである.次年度では,遺伝子変異株と組換えタンパク質の作製,ならびに一本鎖可変断片の作製に使用する.
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