研究課題/領域番号 |
22K19652
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
大川 明子 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (20290546)
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研究分担者 |
関根 由紀 三重県立看護大学, 看護学部, 准教授 (60549096)
山本 奈津美 三重県立看護大学, 看護学部, 助教 (50823960)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | 透析看護 / 遠隔看護 / 在宅看護 / 血液透析 / 自己管理 / ICT |
研究実績の概要 |
2019年の新規導入透析患者の平均年齢は69.20歳であり、前年と比べても0.16歳高齢化している。また患者のQOLや生存率の向上、医療費削減、地域包括ケアシステムの政策も相まって、在宅血液透析(HHD)の普及が急がれている。また、COVID -19に伴う医療危機を踏まえると、HHDの定着が必然と迫っている。HHD実施に向けては患者及び介助者が自己管理できるよう教育・管理が必要となるため、その実施の可否は患者及び介助者が自己管理できるよう教育・管理できるか否かが要となる。 このような現状下で、わが国の在宅血液透析患者数は、全透析患者の0.2%にとどまり、高齢化も進んでいる。また、在宅血液透析関連診療報酬の規定に基づき「在宅血液透析(HHD)管理マニュアル」が作成されているが、HHD導入教育から指導管理体制や継続的な支援が必要なため利活用は進んでいない。 本研究ではHHD普及を目指し、在宅患者宅と施設とを利用者限定のWebで接続し、両者で情報共有しながら、多職種医療従事者が患者の医療情報を地域で共有できる模擬システムを構築する。次に、模擬高齢者HHD患者のアセスメントができる自己管理支援システムを本研究者らの既存の地域連携型透析患者支援システムに機能追加として構築する。 また、本研究では高齢者HHD普及を促進し、予期せぬ事態を減らして効率の良い療養経過を継続するために、利用者限定のWeb接続とし、多職種医療従事者が地域で患者情報を共有でき、高齢HHD 患者が地域で安心して治療・自己管理できる地域連携型透析患者支援システムを構築する。本システムは機能追加で構築可能なため、短期間・低設備投資で実現できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
在宅患者宅と施設とで利用者を限定したWeb接続を構築し、両者で情報共有しながら、多職種医療従事者が医療情報を地域で共有できる模擬システムを構築する必要がある。次に、高齢透析患者の在宅血液透析(HHD)をおこなうためには、システムの開発と評価とをおこないながらシステムの構築をすすめる必要がある。これには本研究者らの既存の地域連携型透析患者支援システムを利活用し、HHD導入教育の機能を追加したプロトタイプシステムを開発する。これを用いてシステム評価を行い、実用化に向けたシステムを構築する。機能追加は以下の手順でおこなう。 ①既構築システムに在宅と施設間で職種連携・情報共有を図れる地域連携型透析患者支援システムに在宅血液透析管理マニュアルに基づいたHHD教育指導項目を設け、メニューに追加機能としてプログラム開発し、追加する。②追加開発した機能は操作性、利便性、効率性などを医療従事者間で評価する。評価指標は、知識・技術(理解度・習得度アンケート)、生活の質(KDQOL-SFTM)とする。③プロトタイプシステムを構築し、性能評価、構築システム利用の難易度などを評価する。構築したシステムの追加機能の設計・構築の妥当性と信頼性との確認のため、施設間の情報交換・連携を既構築システムに構築機能を追加し、医療情報の送受信実験システムを構築する。 これらの多くがコロナ禍で現状の把握が予定通りに進められなかった。というのも、在宅患者の状況把握をおこなうための訪問がコロナ禍でおこなえなかったことに起因する。一方、システム構築のソフトウェア開発も、コロナ禍で人員不足もあり、調査・開発が進めなかったことも原因して、予定通りに進んでいないのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究者らの既存の地域連携型透析患者支援システムを利活用し、HHD導入教育の機能を追加したプロトタイプシステムを開発する。これを用いてシステム評価を行い、実用化に向けたシステムを構築する。 まずは在宅患者の状況把握をおこなうための訪問をおこない、現状を把握する。その上で、自己管理がおこなえるように教育・管理できる機能を追加地域連携型透析患者支援システムを研究者間で試行・評価をおこない、さらに追加構築したシステム内容について、透析医から次回のシステム構築にむけた評価を受ける。次に操作性については、ウェブユーザビリティ評価スケール(WUS)で評価する。調査は三重県にある透析クリニックに受診している透析患者2名を対象とする。なお、研究協力者として、同病院の透析医1名、看護師1名はシステム設計・構築の助言をおこなう。それぞれの役割分担を以下に示す。それぞれの専門的立場から意見交換をおこない検討する。また、成果をシステム構築、システム評価に随時反映させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍で在宅患者の状況把握ができなかったことや国際学会に採択されたにもかかわらずオンライン開催となったために出張できなかったこと、加えてソフトウェアの開発を依頼している会社の人員不足から開発に遅れが出たことがあげられる。これらの使用計画は2022年度できなかったことを拍車をかけて推進する費用に充当すること、2023年度はコロナ状況も収まり、国際学会に参加して研究成果の周知活動をおこなう。
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