研究課題/領域番号 |
22K19655
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
黄 基旭 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (00344680)
|
研究分担者 |
山縣 涼太 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (20963424)
秋山 雅博 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 特任講師 (60754570)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
キーワード | 潰瘍性大腸炎 / カドミウム |
研究成果の概要 |
低濃度のカドミウム長期曝露が潰瘍性大腸炎モデルマウスの病態を増悪させることを見出し、この作用には直腸・S状結腸の上皮細胞や腸腺細胞で選択的に発現しているtmRT1の減少が関与していることを明らかにした。このtmRT1が欠損すると直腸・S状結腸の上皮層再生がほとんど停止することが判明し、tmRT1は直腸・S状結腸での上皮層再生に関わる新規因子であることも強く示された。また、定常時のtmRT1発現はエピジェネティクスな変化により制御されており、主な無機金属類の中でカドミウムのみがtmRT1遺伝子の発現を抑制することがヒト直腸腺癌細胞を用いた検討により明らかになった。
|
自由記述の分野 |
分子毒性学
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本において潰瘍性大腸炎の患者が急激に増加している。本研究の成果により、日常食事から摂取しているカドミウムが潰瘍性大腸炎の病態を増悪させていることが示唆された。また、本作用に直腸・S状結腸での上皮層再生に関わる新規因子tmRT1の発現低下が関与することが明らかになった。大腸粘膜の炎症は直腸から始まり、S状結腸から横行結腸へ広がることから、原因不明の潰瘍性大腸炎に対する治療法としてtmRT1をターゲトとした新しい方法論を提供するものである。また、腎臓障害を中心に行われてきたカドミウム毒性研究においても、これまでにない全く新しい観点でその毒性を捉えるものとして波及効果が期待される。
|