研究課題/領域番号 |
22K19670
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西浦 博 京都大学, 医学研究科, 教授 (70432987)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 人口学 / 数理モデル / 人口減少 / 高齢化 / 産業構造 |
研究実績の概要 |
少子化にともなう高齢化現象は先進諸国で共通してみられるが、日本のそれは極端かつ集中的である。人口減少は著しく持続的と予期され、持続可能な社会を維持するためには能動的な社会構造の変革が求められる。超高齢人口減少社会においては主に2つの問題を認める。1つは、絶対的な生産年齢人口の不足による数の問題である。警察・自衛・消防・救急等の社会インフラ機能の維持のために,「数」が問題となる集団を維持するには一定の社会デザインを要する。2つ目は、産業構造上で需要と供給のバランスが大きく変化することである。高齢人口割合が顕著に高くなり、相対的に年少人口を対象とするサービスより高齢者を対象とするサービスの維持が困難になりやすい。需要爆発を抑制する施策とともに,供給サイドにおいても社会ニーズに対応し、各種職業の需給バランスの是正をすすめることが必須である。本研究の目的は、検討対象を「社会機能の維持」、「高等教育の構造変革」と「保健医療サービスの維持発展」の3点に絞り、コミュニティの独立維持可能性と需要供給バランスに関して、数理モデルに基づく評価を実施し、その予測を実施するための体系づくりをすることである。そのような中、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて人口ダイナミクスが大きく変化する事態となった。そのため、令和4年度は同流行に伴う死亡の変化、特に生命表の変化に伴う平均余命の変化に関する分析に集中的に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では産業別の需要供給バランスの予測を課題にしてきたが、そのためには人口推計と将来推計人口を利用した人口構造の把握が必須である。本研究ではその基盤に大きな影響を与える新型コロナウイルス感染症の影響の定量化に果敢に取り組むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、生命表や死亡実態に対する新型コロナウイルス感染症の影響を追加で分析し、人口動態が十分に定量化され次第に社会機能維持のためのティッピングポイントの導出に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受けて、予定していた人件費支出対象の若手研究者を雇用することができず、それに関連して学会発表や物品の購入ができなかった。いずれも1年度先送りの上で次年度使用とすることにした。
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