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2023 年度 実施状況報告書

NASHメダカをヒトへの生体影響モデルに抜擢したマイクロプラスチックのリスク評価

研究課題

研究課題/領域番号 22K19693
研究機関大阪公立大学

研究代表者

神谷 重樹  大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (60379089)

研究分担者 徳本 勇人  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (70405348)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
キーワードマイクロプラスチック / NASH / メダカ / 腸内細菌叢
研究実績の概要

本年度は,昨年度よりも粒径の小さなプラスチックを用いて,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病態への影響を検討することにした。そこで粒径1 μmの白色ポリスチレン粒子をマイクロプラスチック(MPs)のモデルとして高脂肪食に餌重量の5%混餌して投与することによりNASH病態への影響を解析することとした。実際には標準系統cabの野生型メダカを止水飼育に順化したのち,3群に分割し,それぞれ通常食(ND),高脂肪食(HFD)を毎日20 mg/匹,HFDにMPsを5%重量混合したもの(HFD + MPs)を毎日21 mg /匹で投与し,12週間飼育した。飼育終了後,麻酔下で解剖し,形態学的な変化,体重や肝臓重量,肝臓組織の病理染色,ガスクロマトグラフィー質量分析による肝臓の脂肪酸量および脂肪酸組成,16SrRNAアンプリコン解析による腸内細菌叢構造などの項目について解析を進めている。現在までに,HFD 群と HFD + MPs 群を比較すると, 肝臓についてはHFD + MPs 群の方がやや白っぽく, また胆嚢が大きい傾向が見られたが, 体重や肝臓重量,および肝臓重量体重比ではこれら2群に有意な差は認められなかった。一方,肝臓組織の病理染色ではHE染色で,HFD群で見られた脂肪滴のサイズがHFD + MPs 群では有意に大きくなることが認められた。肝臓組織のオイルレッドO染色ではHFD 群と HFD + MPs 群の両者で脂肪の蓄積が認められたが大きさ違いは認められなかった。現在,さらに肝臓中の脂肪酸および腸内細菌叢の構造を解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の結果から,粒径が小さいほどメダカ体内の貯留時間が長くなることが明らかになったので,粒径の非常に小さなポリスチレン粒子を用いて本年度投与実験が実施できた。その後の,NASH病態の解析も順調に進んでいる。一方,材質の異なる粒子については,先行研究で用いられているマイクロプラスチックのモデルとされるポリスチレンなどの粒子が輸入されていないことやコロナ禍で生産されていないこと,極端に高価であることもあり難しく,他の方法がないか検討している。

今後の研究の推進方策

今後はまず現在研究を進めている極小ポリスチレン粒子を高脂肪色に混餌して投与したメダカの病態のさらなる解析を進める予定である。まず,近年NASHの病態として注目されているマクロファージの浸潤を抗マクロファージ抗体で免疫染色し病理診断する。また肝臓または血中のTG,コレステロール,総脂肪酸量および組成をGC-MSやHPLCにより測定する。さらに,肝臓からRNAを抽出し,SREBPなど脂肪酸代謝に関わる遺伝子や炎症生サイトカインの遺伝子の発現をqPCR法により定量する。ヒトではNASH患者で見られる腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)が起こっているかを16SrRNAアンプリコン解析により調べる。これらによりMP混餌と非混餌でNASHの病態の違いがあるかを総合的に判定する。さらに時間的に可能であれば,脂肪合成や肝線維化に関わるタンパクと蛍光タンパクを融合したタンパクを発現するトランスジェニックメダカを作製し,イメージングにより評価する。

次年度使用額が生じた理由

本年度実施する予定の脂肪酸の分析などが機器の不調や試薬の世界的な枯渇のために実施できないことがあったため、外注により実施することにしたが、支払い等が次年度に渡ることになったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] NASHメダカモデルにおけるマイクロプラスチック摂取が病態へ及ぼす影響の評価2023

    • 著者名/発表者名
      岡部華子, 山本麻衣, 坂本丞, 亀井保博, 神谷重樹
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会

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公開日: 2024-12-25  

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