研究実績の概要 |
大腿骨近位部の二重X線吸収法による骨密度2次元画像を3次元に再構築し、構造強度指標を算出する方法が開発された。JPOSコホート研究の25年間の追跡データからこの手法の骨折リスク評価性能を憲章することを目的とする。 【方法】JPOSコホート研究のBaseline調査と10年次、15年次、20年次追跡調査のいずれかに参加した40歳以上の約2000人を対象とした。アウトカムは大腿骨近位部骨折の発生で、問診で把握した。予測要因は大腿骨近位部三次元骨指標で、毎回の調査時に二重エネルギー吸収法で撮影した大腿骨近位部骨密度画像を3D-Shaper(3D-Shaper Medical社、スペイン)で計算した。骨折リスクは予測要因とアウトカムの繰り返し測定を解析可能なCox比例ハザードモデルで求めたハザード比(HR)とし、3次元構造指標が従来型の大腿骨頸部面積骨密度を基準として、それよりも優れた骨折予測性能を持つかどうかをROC解析で検証した。 【結果】分析できたのは1872人で、追跡期間中、76人に大腿骨近位部骨折が発生した。基準の大腿骨頸部面積骨密度1SD低下当たりのHRは3.13 (95%信頼区間2.46, 3.97)、総体積骨密度、海綿骨体積骨密度、皮質骨体積骨密度は近位部全体で3.97(3.05, 5.15)、3.98(3.08, 5.18)、2.66(2.12, 3.34)、頚部で3.76(2.86, 4.95)、3.70(2.86, 4.78)、2.80(2.2, 3.57)であった。ROC曲線下面積は大腿骨近位部骨密度の0.680に対し、近位部総体積骨密度で0.717、近位部海綿骨体積骨密度で0.715、頚部海綿骨体積骨密度で0.702で、いずれも有意に大きかった。 【結論】大腿骨近位部骨密度画像から求めた三次元骨指標の大腿骨近位部骨折予測性能は面積骨密度よりも優れていた。
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