研究課題/領域番号 |
22K19702
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
桜井 良太 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (00749856)
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研究分担者 |
渡邊 塁 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 客員研究員 (20793326)
藤原 佳典 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 副所長 (50332367)
桜井 政成 立命館大学, 政策科学部, 教授 (90425009)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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キーワード | 社会的孤立 / 積極的孤立 / 独り好き / 精神的健康 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究では、多くの疫学調査から明らかになってきている「社会的孤立が引き起こす健康状態の悪化」が、他者との関わり合いに関する嗜好性(独り好きか否か)の違いにより、どのように変化するか明らかにすることを大きな目的とする。本年度は①インターネット調査を用いて独り好き者の特性を明らかにするとともに、②fMRIを用いた実験から独り好き者の社会的除外に対する耐性、および③独り好き傾向が精神的健康度と関連する機序を検討した。 ①では、首都圏在住の9000名の20歳から79歳を対象に、インターネット調査によって社会的孤立の有無(他者交流の頻度から定義)、独り好き傾向の有無、人付き合いに対する煩わしさの有無、精神的健康度を測定した。結果、社会的孤立の有無にかかわらず、独り好き傾向が強い者ほど精神的健康度が悪くなる傾向が確認された。またこの関係は、横断的には人付き合いに対する煩わしさによって媒介される可能性も明らかとなった。 ②社会的除外の状況を擬似的に作る「サイバーボール課題(PCが操作するキャラクター達と画面上でキャッチボールするが、突然自分だけにボールが回ってこない課題)」を行い、その際の脳活動の違いを独り好き者(17名)と非独り好き者(23名)で比較した。その結果、独り好き者では非独り好き者に比べゲーム除外時に有意に島の活動が低いことが明らかとなり、独り好き者は社会的に除外された際の感情的反応が低い可能性が示唆された。 ③391名の地域在住高齢者に対し、2年間の追跡調査を行い、独り好き傾向と精神的健康度悪化の因果関係を検討した。交差遅延効果モデルによって解析した結果、独り好き傾向は2年後の精神的健康度悪化には関連しなかったが、精神的健康度悪化につながる社会的ネットワークの制限に関連することが明らかとなった。
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