研究課題/領域番号 |
22K19706
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
岡本 成史 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (50311759)
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研究分担者 |
唐島 成宙 金沢大学, GS教育系, 准教授 (30801584)
南保 英孝 金沢大学, 電子情報通信学系, 准教授 (30322118)
細道 一善 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (50420948)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / 脂質異常症 / 因果推論 / LiNGAM |
研究実績の概要 |
研究初年度は、生活習慣病の発症に大きく影響する脂質異常症とその発症リスクと関連する腸内細菌叢構成の特徴について検討した。 本研究では、線形非ガウス非環式モデル (LiNGAM) を使用して、腸内細菌叢の構成 と 脂質異常症の因果関係を評価した。 石川県志賀町に住む40歳以上の男性79名、女性82名を対象に健康診断調査を行い、その時に糞便を回収した。 糞便中から抽出した DNA を処理し、次世代シーケンシングを使用して 16S rRNA 遺伝子の配列を決定し、糞便中の腸内細菌叢の構成を明らかにした。 参加者は性別と脂質プロファイル情報に基づいて 4 つのグループに分けられた。 共分散の一元配置分析、線形判別分析効果サイズ、および最小絶対値削減と選択演算子ロジスティック回帰モデルの結果は、男性と女性の間のいくつかの細菌属が 脂質異常症に関連している可能性があることを示した。また LiNGAM 解析の結果、男性と女性の異なる細菌属と脂質のプロファイルの間に推定される因果関係を示した。 男性では、Prevotella 9 と Bacteroides が、低密度および高密度リポタンパク質のコレステロール値の変化に関連している可能性があることが示された。 一方、女性では、LiNGAM の結果は、Akkermansia属ならびにEscherichia/Shigella属 の 2 つの細菌属が脂質プロファイルと推定される因果関係を持っていることを示した。 これらの結果は、特定の腸内細菌叢を使用した腸内環境の調節を通じて、脂質異常症を発症するリスクを軽減し、脂質異常症を治療するための新しい性別に基づく戦略を提供する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を行うために脂質異常症や高血圧の発症リスクが上がる腸内細菌叢の特徴について検討し、腸内細菌叢の特徴がこれらの発症リスク上昇の原因となりうる因果関係を明らかにする必要がある。しかし、臨床研究でそれを直接的に証明することは不可能である。そこで、最近機械学習による因果推論解析方法として開発された線形非ガウス非環式モデル (LiNGAM) を用いて、その可能性を検討した。その結果、脂質異常症の発症と腸内細菌叢の構成に関する因果関係が見出された。以上より研究の方向性に問題はほぼないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1.因果推論手法を用いた細菌種間の相互ネットワークの解明(2022年度実施): 1. で各種生活習慣病発症と関連する細菌(群)とその細菌(群)の有する代謝経路データをLinear non-Gaussian Acyclic Modelを用いて統合、因果推論することにより、3群間の因果関係を探索する。さらに同解析により見出された細菌(群)が有する各種生活習慣病発症に直結する代謝反応が実際に見られるか否かをin vitroでの代謝反応実験および、代謝産物の質量分析により確認する。以上のデータを総括して生活習慣病-細菌(群)―代謝反応に関する相互ネットワークを解明する。 2.疾患モデルマウスへの細菌(群)の移植による代謝物産生変化と疾患発症・憎悪の可能性(2022~23年度実施):2. で見出した生活習慣病-細菌(群)―代謝反応に関する相互ネットワークが実際にin vivoにおいてGM構成変化による各種生活習慣病の発症、症状悪化に関与するか否かを検討する。各種生活習慣病モデルマウスの腸内に抗生物質を長期投与し無菌状態にしたうえで、各種生活習慣病発症に関連する細菌(群)を移植し、血漿、便検体、組織検体などを採取する。採取した各検体中の代謝物について液体クロマトグラフィー質量分析装置を用いたメタボロミクス解析により網羅的に測定する。以上の結果を解析し、細菌を移植しない対照マウス群と比較検討することにより細菌と代謝経路を実証する。また、移植した動物の疾患発症、症状悪化の有無について、内臓脂肪、膵臓、肝臓、腎臓、大動脈などの生活習慣病の標的臓器に対して、HE染色、免疫組織染色、代謝物質量分析イメージングを用いて検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者である南保氏の研究支出について、本年度行う研究課題の一部が時間の関係で来年度に延ばさざるをえない状態となり、次年度への使用額が生じた。
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